今日のポイント
- 先週の日経平均週足に、長い下ヒゲ。上昇トレンド入りの可能性が出つつあると考える
- 世界的に長期金利が上昇したことを好感し、米国・日本などで銀行株が急騰。これから、割安な金融株の株価修正が本格化すると予想
- トランプ効果で、銅など非鉄市況も急騰。総合商社や非鉄精錬にメリット
これら3点について楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する。
日経平均はテクニカルに見て、上昇トレンドに入る可能性が出つつあると考える
まず、先週の日経平均週足をご覧いただきたい。長い下ひげが出ている。これは、テクニカルに見て強気シグナルと言える。
日経平均週足:2015年1月5日~2016年11月11日

(注:楽天証券マーケットスピードより窪田氏作成)
米大統領選の開票で、トランプ氏優勢と伝えられた11月9日、日経平均は前日比919円安と急落した。ところが、翌日の日経平均は前日比1092円高と急騰した。
経済の破壊者と見られていたトランプ氏が一転して、米景気を強くする景気対策を強力に推進する大統領になるとイメージが変わったからだ(この部分の詳しい説明は以下の記事をご参照いただきたい。11月10日「トランプ・ショック後の日経平均見通し」)
日経平均が、急落(919円安)直後に、急騰(1092円高)したことによって、先週の週足には長い下ヒゲが出た。急落時に売った投資家は、急騰時にあっという間に踏み上げられたことになる。こういうことがあると、1万7000円以下を売っていくのは心理的に難しくなる。
このように、長い下ヒゲを出したことで、投資家は心理的に下値を売りにくくなる。テクニカル面で長い下ヒゲを強気シグナルと見るのは、投資家の心理転換に効果があるからだ。
ただし、チャート上で、先週はもう1つ気になる動きがあった。9日(水)に急落、10日(木)に急騰した後の、11日(金)の日経平均の動きだ。朝方に続伸し、1万7600円の節目(週足チャートで水色の線をひいたところ)に近づいたが、そこで上値が重くなり、上昇幅を縮小して 1万7374円で引けた。前掲のグラフを見ていただくとわかるが、水色の上値抵抗線を一気に抜けることはできなかった。
大統領に当選した途端にトランプ氏が豹変したことに、投資家はまだ半信半疑だ。突然、米国経済にとっても国際社会にとっても、いいことずくめの優等生発言を連発するようになったトランプ氏は、まったく別人のようだ。
そのうち、元の暴言が復活するのでないか?そうした不安が、先週金曜日に日経平均の上値を抑える要因になった可能性がある。