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日本株展望

トランプ相場の光と影--期待とリスク要因

ZDNet Japan Staff

2016-11-18 11:13

今日のポイント

  1. 11月初来のセクター物色には、トランプ相場を挟んで世界共通の傾向がみられる。スピード調整を交えつつ、金融、資本財、素材の優勢、公益や安定成長の劣勢は続きそう
  2. トランプノミクスはレーガノミクスに似ている点も。Reagan氏が1981年初に大統領就任以降、米長期金利とドル円は秋口まで上昇した。2017年も同様の傾向が見込めるか
  3. 新大統領誕生で、市場はリフレ政策や規制緩和などを期待。先ずは「株高、債券安」で反応した。ただし、中期の視点では、政策面からのリスク要因の顕在化も警戒したい

 これら3点について楽天証券経済研究所シニアグローバルストラテジストの香川睦氏の見解を紹介する。

ほぼ同期する世界のセクター(業種)物色

 米大統領選挙(8日)の結果を受けたTrump相場(米長期金利上昇、ドル高、円安、株高)も、足元ではやや一服感が出てきた。セクター(業種)別指数をベースに、11月初来の米国、日本、世界の物色動向を振り返ると、その優劣はほぼ同期している(図表1)。

 米国市場におけるセクター物色を騰落率で降順にすると、(1)金融(長短金利差拡大による銀行の利ザヤ改善や金融規制改革法廃止への期待)、(2)資本財サービス(Trump政権下でのインフラ投資積極化への期待)、(3)ヘルスケア(オバマケア(国民皆保険制度)廃止による薬価引き上げ圧力後退への期待)、(4)エネルギー(エネルギー規制の緩和や生産拡大への期待)、(5)素材(公共投資拡大による需要増加期待)。

 一方、劣勢を鮮明にしているのは、(1)公益や通信サービス(金利上昇懸念)、(2)生活必需品(安定成長セクターから景気敏感への物色シフト)など。米長期金利の上昇傾向に反転材料が出ない限り、債券から株式へのローテーション(資金シフト)は、スピード調整を交えながら当面続くと思われる。

図表1:世界のセクター別物色動向(11月初来)

楽天証券経済研究所作成
MSCI-10大業種別株価指数の期間騰落率。米国市場の「月初来騰落率」の降順で表示。
(注)Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(11月16日時点)

レーガノミクス相場は再現するのか

 トランプノミクス(Donald Trump次期大統領による経済政策面の公約)は、「レーガノミクスの再来」と言われている。第40代米大統領のRonald Reagan氏は、1980年11月の大統領選で当選すると、1981年1月大統領に就任して以降、(1)大規模減税、(2)規制緩和、(3)産業競争力強化、(4)軍備拡大などを推進した。

 (1)と(2)を柱としたリフレ政策と「強いアメリカの再生」を訴えた点で、Trump氏の公約はレーガン大統領の公約と類似する点がある。

 参考までに、Reagan大統領が誕生した1981年初からの1年間について、米長期金利と為替(ドル円)相場の推移をグラフにして振り返ってみた(図表2)。レーガノミクスへの期待が先行し、米国債売り(金利上昇)、米国株買いの動きとなり、債券金利(利回り)の上昇は「日米金利差拡大」を介し為替のドル高、円安傾向を促した。

 ただ、同年秋には反転。長期金利、米国株、ドル円とも下落した経緯が分かる。当時と現在の経済、金融環境に異なる点はあるが、Trump氏が2017年1月20日に大統領に就任して以降も期待先行はしばらく続く可能性がありそうだ。 

 なお、Reagan大統領(俳優出身)もTrump氏と同様「政治経験が乏しい」ことを不安視されたが、Baker(当時)財務長官など共和党実力者をブレーンに配置し、政策実行力を高めたことで知られている。

 今回の選挙では、大統領府、上院下院両議会の過半数を共和党が占めるに至った。大統領と共和党、議会が妥協しながらもリフレ政策を着実に進め、通商政策や外交政策は「過激な公約」の実行が排除され、合理的かつ実利的なものに修正されていくものと考えられる。

図表2:Reagan大統領就任年(1981年)の米長期金利と為替の推移

(出所)Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(1981年初~1981年末)
(出所)Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(1981年初~1981年末)

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