大企業がアジャイル開発に手こずる理由とその対策 - (page 2)

Joe McKendrick (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2016-11-28 06:00

 同氏らが所属するMcKinseyのチームは、大企業の規模でアジャイルを成功させる助けになる、4つのポイントからなるプログラムを作成した(詳細については、このテーマについて同氏らが発表した記事にも書かれている)。

 プロジェクト指向ではなく、製品指向のアプローチを取る。同氏らの観察によれば、大企業におけるアジャイル開発の取り組みはプロジェクトを中心としており、IT部門の領域内で収めようとする傾向がある。むしろ、「製品に関わる事業部門のリーダーや開発者、および組織内の他のメンバーなどのIT人材を、掲げられたビジネス上の成果を提供することを目的とする、連携の取れた安定したチームとして組織化」することが望ましいという。

 事業部門とIT部門の連携を改善する。「緊密な協力関係は、事業部門から、IT部門と連携を取る役目を果たす、強力なプロダクトオーナーを指名することによって実現する。プロダクトオーナーは、会社の製品をよく理解しており、技術的な知識と、製品の機能変更に関する優先順位を決定できる権限を持っている必要がある」

 マネージャーの役割と責任を再定義する。Comella-Dorda氏とSpeksnijder氏が調査した、アジャイル開発の導入に成功した企業の約半分は、「マネージャーの役割と責任を再定義し、アジャイル開発に必要な明確な機能の責任を負うように変えていた」という。例えば以前のウォーターフォール型のアプローチでは、管理職は「一般にアプリケーション開発チームやデータベースチームなどをまたがって発生するさまざまなタスクの調整を行う必要があった。アジャイルのアプローチでは、タスクの数は(したがって調整の必要性も)最小化される。残るタスクは、プロダクトオーナーまたはアジャイルチーム自体によって処理される」と同氏らは述べている。

 予算策定および計画策定モデルを再設計し、「ベンチャーキャピタル」アプローチの採用を検討する。Comella-Dorda氏とSpeksnijder氏は、従来の1年間単位で予算と計画を立てるやり方を捨てることを提案している。同氏らの観察によれば、「調査した中には、異なるアプローチをとっている企業もあった。それらの企業では、ロードマップや計画は四半期、あるいは月ごとに再検討され、常に優先順位が変更されている」という。さらに、「一部には、ベンチャーキャピタル型の予算策定モデルを試している企業もあった。初期の予算は実現可能な最小限の製品を作るために割り当てられ、製品は素早くリリースされ、顧客からのフィードバックに基づいて改善され、市場に再投入される。このやり方はアジャイル開発の特徴そのものだ。そして、以後の予算は、その製品が市場で上げた成果に応じて与えられる」と同氏らは述べている。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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