2016年のIT市場規模は微減、セキュリティ関連は伸びる--矢野経済研究所

NO BUDGET

2016-11-27 07:00

 矢野経済研究所は11月15日、国内民間企業のIT投資実態と今後の動向についての調査結果を公表した。本調査では7月から10月にかけて、国内の企業、公的団体・機関等を対象として郵送アンケートを実施、さらに経済産業省および総務省の調査を基にアンケート結果などを加味する形で国内民間企業のIT投資市場規模を算出している。それによると、2016年の市場規模は前年度比0.7%減の11兆4750億円と、縮小が予測されるという。また今後3年間でIT投資が増加するソフトウェアとしては、セキュリティ関連が挙げられている。


国内民間IT市場規模推移と予測(会計年度・IT投資額ベース、2016年度以降は予測値)

 国内民間企業のIT市場規模(ハード・ソフト・サービス含む)は、2015年度が前年度比2.1%増の11兆5560億円と推計。今後は、2016年度が前年度比0.7%減の11兆4750億円、2017年度が前年度比0.5%減の11兆4180億円、2018年度は前年度比0.5%増の11兆4750億円になると同社では予測している。金融業界で続いていた大掛かりなシステム更新も2016年度にはピークアウトし、落ち着きつつあるため、国内民間企業のIT市場規模は前年度比で僅かに縮小に転じるとのこと。ただし2018年度以降は、2020年に予定されているWindows7の延長サポート終了に向けた動きや、東京オリンピックに向けた新たな需要が見込まれることから、国内民間企業のIT市場規模は上向いてくると予測している。

注目はセキュリティ関連ソフトウェア

 アンケートでは、今後3年間でIT投資が増加するソフトウェアについても質問しており、2011年調査からの回答比率の推移は下図の通り、セキュリティ関連ソフトウェアが2012年にERPを上回って以来5年間トップが続いている。


今後3年間でIT投資が増加するソフトウェア(複数回答、全18項目のうち上位7項目のみ抜粋)

 2016年調査では、セキュリティ関連ソフトウェアに対する回答比率が55.0%となり、2011年調査と比較すると29.2ポイントの増加をみせた。2015年には情報漏えい問題、ゼロデイ脆弱性、ランサムウェアの増加などの情報セキュリティ問題(インシデント)が話題になったほか、IoT機器やスマートフォンなどのデバイスを悪用したDDoS攻撃の増加が今後も予想される。同社では、こうした問題への関心がセキュリティ関連への投資行動として表れたものと考えているという。

 また、今後3年間でIT投資が増加するソフトウェアについての回答比率が3番目に高いSFAは、2016年調査では19.4%で第3位と2015年調査から順位を一つ上げた。営業面において、情報の共有や有効活用に課題を感じている企業は多く、大企業やIT関係以外の企業においても、社内案件管理や情報共有のため、SFAを導入する企業が増加していると同社では考えている。

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