日本株展望

投資リスクを再点検--世界経済は改善、政治不安は拡大

ZDNet Japan Staff 2016年11月24日 11時43分

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今日のポイント

  1. 世界経済の回復色が強まりつつあるところで、積極的な景気刺激策をとるトランプ氏が米大統領に勝利し、世界的な株高につながった
  2. 欧州では、反移民、反難民を唱える極左、極右政党が急激に勢力を拡大しており、それが反EUに結び付き始めている。来年、欧州各地に反EU運動が広がるリスクがある
  3. ISテロ、東アジアの地政学リスク拡大にも注意が必要

 これら3点について楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する。

トランプ歓迎相場が続いているが、ポピュリズムの問題が解決したわけではない

 ポピュリズム(大衆迎合主義)の過激発言で物議をかもしたドナルド・トランプ氏が米大統領選で勝利してから世界的に株が上昇している。世界の株式市場がポピュリズムを歓迎しているかのような錯覚にとらわれる。

 窪田氏は、世界を覆うポピュリズムが株式市場の重大なリスク要因であることは変わらないと考えているという。トランプ歓迎相場が実現したのは、以下の3つの理由によると考えられる。

(1)トランプ当選前から世界景気に回復の兆しが出ていた

 窪田氏は、現在の世界的な株高の主因は「世界経済の回復」にあると考えているという。トランプ当選がなくても(クリントン当選の場合も)、遅かれ早かれ、世界経済の改善を好感した世界的な株高は実現していたと考えられる。クリントン氏は、トランプ氏ほど強力な景気対策を実施する方針は示していなかったが、それでも大規模インフラ投資を実施する方針を示していたことは同じだ。

 日本と世界の株式市場を見ると、6月までは景気敏感株を売って、世界景気の影響を受けにくい“ディフェンシブ株”を買うのが主流だったが、7月から景気敏感株を買ってディフェンシブ株を売る流れが出ている。この頃から金融市場に世界景気の回復を買う流れは出ていた。

 米景気を過熱させかねないトランプノミクスの発表を受けて、世界景気回復の流れが鮮明になると考えた投機筋が一斉にリスクオンに転じたため、トランプラリーが実現したと考えられる。

(2)当選後のトランプ氏が過激発言を封印し、優等生発言を続けている

 当選後のトランプ氏は、保護貿易主義の過激発言を控えている。また、他国との摩擦を生む対外強硬発言も、人種や民族、宗教の対立をあおる発言も今のところ控えている。外交や経済で現実路線を打ち出しているように見えることが、トランプ次期大統領の不安を和らげている。

(3)強烈な景気刺激策を取る方針を表明

 トランプ氏の選挙後の豹変に世界中が驚いたが、このままでは、トランプ氏に投票した労働者階級の反感を買うことになりかねない。トランプ氏は強烈な景気対策(減税と公共投資)を推進し、米景気を強くすることで、労働者層にも資本家層にも歓迎される大統領となることを目指しているように見える。究極のポピュリズム政策と言える。

世界中にポピュリズムのリスクが拡大している

 大衆に迎合し、資本主義やグローバル主義に背を向ける流れが世界に広がっている。

(1)2015年7月5日ギリシャ国民投票

 ギリシャのチプラス首相は、欧州連合(EU)が求める緊縮策を受け入れるか否か、国民投票にかけた。緊縮策を拒否すれば、金融支援が打ち切られてギリシャのデフォルトが決まる瀬戸際での国民投票だった。

 緊縮受け入れが可決されると予想されていたが、投票結果は、緊縮反対が61%を占めた。その通り実行すれば、ギリシャの破綻、EUからの離脱(Grexit)が確定するところだった。

 ところが、チプラス首相は国民投票の結果を無視して緊縮策を受け入れたので、ギリシャへの金融支援は継続され、事なきを得た。

(2)2016年6月23日イギリス国民投票

 英国民投票でEU離脱(Brexit)が可決されたことも驚きを持って受け止められた。英国に進出してグローバル企業にダメージが及ぶことが懸念されている。

(3)2016年11月8日米大統領選

 トランプ氏当選が驚きをもって受け止められた。選挙前に表明していた反資本主義、反グローバル主義の過激公約をそのまま実行すれば、世界経済の破壊に直結するが、今のところ過激公約を封印し、現実路線に転換する気配を示しているので、事なきを得ている。

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