米Cisco Systemsは11月10日、年次レポート「Cisco Global Cloud Index （2015-2020）」を発表した。それによると、クラウドトラフィックが2015年の3.9ZB（ゼタバイト）から2020年には14.1ZBへと、3.7倍に増加すると予測されるという。
こうしたクラウドトラフィックの急速な増加は、迅速なスケールの拡大が可能で、従来のデータセンターに比べて効率的になり、多くのワークロードをサポートすることができるクラウドアーキテクチャへの移行がますます進むためとのこと。
レポートは今年で6回目。今年度のレポートでは、データセンターの成長をさらに詳細に理解するため、アプリケーション ワークロードに関する新たな分析を考案し、ビジネスおよびコンシューマーに関して以下のように予測している。
ビジネスワークロードがますます増加
ビジネスワークロードは2015年から2020年までの間に2.4倍に拡大するものの、データセンターのワークロード全体に占める割合は79％から72％に低下すると予想される。
コンシューマーワークロードはビジネスを上回る速度で増加
2015年から2020年までの間、コンシューマーワークロードは3.5倍とビジネスを上回る速度で増加、2020年にはデータセンターのワークロード全体に占めるコンシューマーワークロードの割合が、2015年の21％（3860万）から28％（1億3430万）に拡大すると予測。
IoT、アナリティクス、データベースのワークロードが占める割合が拡大
2020年には、ビジネスワークロード全体に占めるデータベース／アナリティクス／IoTのワークロードの割合は、2015年の20％から22％に拡大する一方、コラボレーションやコンピューティングはほぼ同様の割合を維持すると予測される。
ビデオやソーシャルネットワーキングが最も増加
2020年には、コンシューマーワークロードに占めるビデオストリーミングの割合は2015年の29％から34％に増加。ソーシャルネットワーキングの割合は2015年の20％か24％に増加する一方、検索ワークロードが占める割合は、2015年の17％から15％に低下すると予測した。
また今回、シスコは初めてハイパースケールデータセンター（10億ドル以上のIaaS/PaaS売上、20億ドル以上のSaaS売上、40億ドル以上のインターネット／検索／ソーシャルネットワーキング売上、80億ドル以上のeコマース／ペイメントプロセス売上を持つデータセンター）の影響についても定量化と分析を実施した。
ハイパースケールデータセンターの数は2015年の259から2020年には485に増加。こうしたデータセンターのトラフィックは今後5年間で5倍になると予測している。2020年にはデータセンターに設置したサーバのうち、ハイパースケールデータセンターのインフラは47％を占め、データセンタートラフィック全体の53％をサポートするようになるという。
ここでインフラストラクチャの重要なトレンドとして挙げられるのが、ハイパースケールやその他のデータセンターの移行だ。ソフトウェアデファインドネットワーク（SDN）やネットワーク機能仮想化（NFV）がデータセンターアーキテクチャを平均化し、トラフィックフローの効率化を進展させるという。
今後5年間で世界のハイパースケールデータセンターの60％にSDN/NFVソリューションが導入されると予想され、事業者が一層の効率化を追求することによって2020年にはデータセンター内のトラフィックの44％（2015年の23％から上昇）がSDN/NFVプラットフォームにサポートされるとした。
シスコのサービス プロバイダー マーケティング担当バイスプレジデント、Doug Webster氏は、以下のようにコメントしている。
「この6年にわたる調査の間に、新規テクノロジだったクラウドコンピューティングが、世界中のあらゆるサービスプロバイダーにとってアーキテクチャの拡張性や柔軟性を確保するために、不可欠な要素へと進化してきました。ビデオやIoT、SDN/NFVをはじめとするさまざまな技術によって、今後さらにクラウドへの大幅な移行が進み、また、事業者がインフラを効率化してさらに収益率を高めて、IPベースのサービスをビジネスとコンシューマーの両方に提供できるようになることによって、生成されるネットワークトラフィック量が急速に増加するとシスコは予測しています」
