深層学習で原因を特定へ--アプリ性能監視ソフトの進化:AppDynamics - (page 3)

松下康之

2016-12-01 07:00

 パネルディスカッションの後はデモをみせるパート。前日も登壇したCTOのBhaskar Sunkara氏が4つのデモを紹介した。

 最初のデモはAppDynamicsのダッシュボードのユーザーインターフェースに新しい検索機能を追加するもので、いわゆるタイプアヘッドサーチの例だ。実行したい機能の単語をタイプすることで逐次検索結果が一覧表示され、直ぐに管理者が実行したい画面に到達できる。ここでは来場者からの歓声が上がった。

 次のデモは、ステージ上に簡単な店舗を作り、棚やPOS端末などのIoTデバイスからのデータをビジネスデータとしてリアルタイムで可視化するものだ。仕組み自体はセンサをRaspberry Piなどに実装し、そのエッジデバイスに最小限までメモリサイズを縮小したエージェントを仕込んで品質データを取り込み、在庫の動きや単価をモニタリングすることでビジネスの動きをダッシュボードで確認するというもの。AppDynamicsとしてはIoTのムーブメントにも十分対応しているという部分を強調したかったということだろう。

 次のデモは、AppDynamicsが最も得意としているアプリケーションとインフラストラクチャのモニタリングの中で障害時にRoot Cause Analysis(根本原因分析)を機械学習で行うものだ。複数のエージェントからのメトリックスの時系列な相関関係を元に本当の原因がどこにあるのかを推定できるという。


機械学習で問題の原因を推定するデモ

 ルールベースではなく深層学習で原因を特定できるのであれば、運用部門にとって福音ではないだろうか。製品に早期に組み込まれることを期待したい。

 最後に音声認識と携帯のSMSをからめたデモを実施した。これはAmazon EchoというアマゾンのパーソナルアシスタントとAWSを使った音声認識であるAlexaを組み合わせ、AppDynamicsの監視を実行するというものだ。操作を指示するだけではなく結果を音声で読み上げたり、システム運用の担当者にSMSを送ったりと実際の業務に即したデモであった。

 2015年はCEOであるDavid Wadhwani氏が就任直後ということで若干頭でっかちなビジネス面を優先したキーノートであったが、今年は昨年の反省もあってか技術面のプレゼンテーションが増えて、来場者の興味に応えていたようにみえる。

 12月8日には日本でもユーザー事例を中心としたイベントも開催するという。アプリケーションの監視と可視化に興味があるのであれば、見ておいて損はない。

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