スローな環境が伸ばす創造性--東京から70キロの「田舎」プロジェクト盛り上がる

中川生馬(バックパッカー)

2016-11-27 09:46

 自然に囲まれ心が和む環境を拠点に、今後の事業を試みてはいかがだろうか?

 山、川、森など自然が多い田舎/地方は、日常生活が緑に囲まれ、まわりはのんびりと落ち着いている。田舎は「ゆっくり」に囲まれているスローなライフスタイル。周囲の動きが「のんびり」なので、頭や心が落ち着く環境だ。忙しさは都会と変わらないが、「心和む」周囲の環境が異なる。

 人や交通機関の流れなど、全てにおいて周囲の動きがスピーディーで、混雑した都会とは異空間だ。

 東京から約70キロ圏内にある“とある”山深い田舎町が、「この町で、あなたの社会性ある事業やプロジェクトを“実験”してみませんか?」と、企業や個人に声をかけている。

 埼玉県秩父郡にある横瀬町だ。横瀬町は、秩父地域への東の玄関口で人口約8500人の小さな町。

横瀬
武甲山と棚田

 主力産業は町のシンボルで山頂がユニークな形をした標高約1300メートルの「武甲山(ぶこうざん)」で採掘する石灰岩の鉱業/窯業。

横瀬
あしがくぼの氷柱

 観光として注目を集めるスポットは、2カ月で約5万人を集める「あしがくぼの氷柱(ひょうちゅう)」、県内最大級の棚田「寺坂棚田」がある。

 今回、新たな取り組みを発表した場所は、西武鉄道西武秩父線の芦ヶ久保駅(あしがくぼえき)から徒歩数分の場所にある廃校となった小学校…。

横瀬
芦ヶ久保駅からの眺め

 駅を降りると、「こんな山深いところで…この町は何をするつもりだ!」が第一印象だが、役場の想いは熱い。

 横瀬町は今年9月30日、IT/テクノロジーを駆使し、全国的に社会性が強いプロジェクトや事業展開する企業や個人を誘致し、その企業や個人を全力で応援する「よこらぼ ~ 横瀬町とコラボする研究所 ~」の取り組みを開始。発表イベントには、ITベンチャーから大手IT企業含め、町内外から150人が参加した。

横瀬
横瀬町での発表に集まったITベンチャーから大手企業と、横瀬町の富田能成町長

 そして、11月、町の取り組みに賛同したIT系3社 Dropbox Japan(ドロップボックス・ジャパン)、ガイアックス、スペースマーケットが横瀬町内で各社のプロジェクトを展開することを正式に決めた。横瀬町は今後も引き続き、企業や個人のプロジェクトの誘致に力を入れる。

 名称「よこらぼ」の由来は、横瀬町の頭文字「よこ」、英単語「コラボレーション(協力)」の“コラボ”、「ラボラトリー(研究所)」の“ラボ”を掛け合わせたもの。

 このプロジェクトの最終的な目的は「横瀬町の活性化」だ。横瀬町は社会性ある事業やプロジェクトの展開を目指す企業や個人を町内外から幅広く誘致。企業や個人と協力して、横瀬町発の新たなものを生み出すことを目指す。全国に向けて「社会性ある新たな事業を展開するなら、まずは横瀬町へ!」というイメージを打ち出す。

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