スローな環境が伸ばす創造性--東京から70キロの「田舎」プロジェクト盛り上がる - (page 2)

中川生馬(バックパッカー) 2016年11月27日 09時46分

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横瀬町は町内に“何を”誘致するのか?どんなメリットがあるのか?

 横瀬町は「社会性ある事業やプロジェクトを展開したい企業や個人」を町に誘致したい。では、横瀬町で展開するプロジェクトや事業に対して、町はどういった支援をするのか?

 例えば、あるベンチャー企業が、教育分野で役に立つIT端末を開発した。しかし、教育関係者との伝手がない。横瀬町でそのような事業を展開する場合、町は教育委員会と交渉して、横瀬小学校で教育向けのIT端末を活用するように促す。「よこらぼ」発表時、横瀬町の富田能成町長が挙げた例だ。

横瀬
横瀬町は今回のお披露目会を旧・芦ヶ久保小学校「あしがくぼ笑楽校」の体育館で開催した

 横瀬町は、町民の協力を得るための交渉、必要に応じて、特区申請や条例改定まで行い、絶対的なスピードで個人や企業を全力で支援するとしている。

 地元公共機関や地元企業への営業アプローチなど、伝手がないと参入が難しい場合、信頼がある役場が共に営業をかける。

 筆者(“田舎バックパッカー”の中川生馬)は、東京や鎌倉の都会での生活から離れ、能登半島の“奥”にある人口約8700人の田舎の町 穴水町の岩車という場所へ3年半前に移住したのでよくわかるが、人口約1万人を切った田舎町のコミュニティは狭い。

 1万人を切った町では、「あ~あの地区のあの人ね。知ってるわよ。私の親戚よ」「最近、町に移住してきた人ね。誰かから聞いたわよ」という感じで、町内中、(極端に言えば)“親戚だらけ”、人と人とのつながりが濃密で、お互いに知っているコミュニティが田舎の町だ。

 “外者(そともの)”が田舎へ来て、何かを始めるとき、“信頼関係”は重要で、なんらか交渉をする際、現地で信頼できる人が“仲介”に入ると、ものごとが早く進展し、コミュニティにも入りやすい。

 中小や大企業を1つのコミュニティとして、考えればわかりやすい。なにかのプロジェクトを始めるとき、他部署の人たちとコミュニケーションがあったり、友好関係があると、プロジェクトが進みやすくなる。それと同じようなものだ。小さな田舎のコミュニティでもちょっとした信頼関係や根回しが重要となる。

 もう1つ、「社会性あるプロジェクト」として、横瀬町が例として挙げた分野は日本の経済成長戦略の一つにもなっている「シェアエコ(シェアリングエコノミー)」だ。

 シェアエコとは、インターネットを介して、個人のモノ、場所、移動手段などで使っていない“空いているモノ”、遊休資産を、誰かに有料で“シェア”する・貸す・売買する経済活動のこと。

 シェアエコ分野のサービスに対しても、横瀬町は社会的に魅力的なサービスであれば、条例制定や特区申請を行い、法的な面から支援すると言う。

 シェアエコの代表的な例としては、個人のクルマを活用した自動車手配サービスの「Uber(ウーバー)」、民間の空き部屋や空き家などを活用した民泊の「Airbnb(エアビーアンドビー)」など、国内でも議論が絶えないサービスがある。

 これらのサービス自体は、個人の経済活動や、利用者にとって役立つ便利なサービスだが、国内法や市町村の条例制度の壁をクリアしなければならない。

 これらは極端な例かもしれないが、要するにこのような「社会的に役立つ良いサービスだが、実施するにはハードルが高い」サービスを誘致し、本格的に支援したいと考えているのが横瀬町だ。

横瀬

 法令のハードルを乗り越えることが困難なシェアエコ・サービスだとしても、それが横瀬町や国内外で社会的に役立ち、それを事業展開したい個人や組織がサービスに対して熱い想いをもっていれば、横瀬町は法的面からも全力で支援する。法の影響で、企業や個人が実施できなったことを、役場が入りサポートすることで、企業が試験的にもサービスを実現できるような“場づくり”を整備するわけだ。

 企業や個人は、1つの成功事例を横瀬町でつくることで、サービスの良さを世間にアピールすることができる。順調に進めば、国内法や全国の政令が改正され、横瀬町だけでなく、全国でビジネスを本格化できるかもしれない。

 横瀬町と共に、プロジェクトや事業展開したい組織や個人はまず、町の専用ホームページを介して、申請書の提出が必要となる。町は、毎月25日前後に、審議した結果を申請者に通知する。

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