Rethink Internet:インターネット再考

「私が次に知りたいコト」はGoogleが握っている(前編)--自由の余剰と価値 - (page 2)

高橋幸治

2016-12-03 07:00

あらゆる創造産業は情報産業であり、同時に予測産業である

 さて、「TACIT FUTURE」が問題提起した文脈に沿って第2四半世紀のインターネットにおける人間と情報の関係を考えよう。私たちを取り巻く情報環境は当然のことながら「情報」が価値になり財産になり経済の資本となっていく世界である。

 したがって、今後の創造産業のかなりの部分は情報産業が占めていくことになり、企業が展開するあらゆるメディアやサービスはいかに多様かつ多彩なユーザーの「情報」を資本として活用していくかが事業の命運を左右する重要なファクターとなる。このユーザーの「情報」が質/量ともに従来のレベルを遥かに超えていくのがこれからのインターネット第2四半世紀のひとつの特徴となるだろう。

 この現在の状況と未来の眺望こそが、筆者が参加した「TACIT FUTURE」における「Industries of prediction and margins of freedom」の核心と言える。企業(もちろんそれが国家であるケースも十分にあり得る)によって知らず知らずのうちに収集された私たちの「情報」は解析され、分類され、自分が与り知らぬヒトやモノやコトにまつわる「情報」と紐付けられ、再び私たちにフィードバックされる。

Webページ
筆者が参加したワークショップ「Industries of prediction and margins of freedom」(予測の産業と自由の余地)の議論の成果がまとめられたウェブページ

 その結果として次に私たちが選び取る「情報」はさらに精度と確度を上げて、次なるフィードバックに反映されていく…。つまり、これまでクリエイターと呼ばれる人々が携わっていた創造産業はすなわち新次元の情報産業になり、ユーザーのありとあらゆる「情報」をもとに私たちの思考パターンや行動パターンを先取りしていく「予測産業」となっていくのだ。

 私たちにフィードバックされる最もわかりやすい「情報」は広告であるが、もはや広告はマスメディアを通した旧来の情緒的なキャッチコピーや有名タレントを起用した映像作品である必要はなく、私たちが日々の生活の中で企業に提供した膨大な情報をもとにした予測情報が最も効率的な広告となっていくだろう。

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