最後に、AIネットワーク化の進展においてのICTインフラのあり方についても整理する。
AIネットワーク化社会の進展により、AIがネットワーク上にレイヤ別に分散して存在するようになると考えられる。
たとえば、スマートマシンそのものにAIを搭載して個々のマシンを制御し、エッジ側でもAIの機能をも持たせて限定のエリアではエッジ側でデータ処理やマシンを制御する流れも進んでいくと考えられる。
ネットワークのレイヤにおいては、AIによって制御され自律的なネットワーク経路の変更も可能なAI Defined Infrastructureの流れが進み、AI専用の帯域を確保するミッションクリティカルなネットワークサービスも登場するかもしれない。
今後は、AIネットワーク化が進めば、ネットワーク上で各AIが連携すべき他のAIを自律的に検知し、AI同士の相互連携による適切な分散協調処理を実行する、全体最適化の流れが進んでいくとことになるだろう。
以上のように、AIネットワーク化社会においては、データを中心としたエコシステムの形成が必要不可欠となり、また、AI同士が相互連携するICTインフラのあり方も考えていく必要があり、本分科会でも議論を深めていければと考えている。
- 林 雅之
- 国際大学GLOCOM客員研究員(NTTコミュニケーションズ勤務)。NTTコミュニケーションズで、事業計画、外資系企業や公共機関の営業、市場開 発などの業務を担当。政府のクラウドおよび情報通信政策関連案件の担当を経て、2011年6月よりクラウドサービスの開発企画、マーケティング、広報・宣伝に従事。一般社団法人クラウド利用促進機構(CUPA) アドバイザー。著書多数。