さくらインターネット、ビットスター、ミラクル・リナックスは11月29日、オープンソースのクラウド事業者向け運用統合ソフト「Hatohol」の共同開発を開始した。
Hatoholは、ミラクル・リナックスが支援する開発コミュニティ「Project Hatohol」」で開発されているオープンソースの運用統合ソフトウェア。システム監視、ジョブ管理、インシデント管理、ログ管理など、さまざまな運用管理ツールのハブとして機能する。システム監視ツールの統合機能を持ち、複数の監視環境(Zabbix、Nagiosなど)と連携して監視情報を集約して一元的に表示する。
将来的に見込まれる監視規模・拠点の拡大、ハイブリッドクラウドの監視といったエンタープライズでのニーズに対応するため、現在、さまざまなクラウド基盤や運用管理ツールとの連携を目指して開発が進められる。
クラウド事業者のさくらインターネットは、サービスの多様化に伴い監視対象サーバが増加しており、7月には専門チームを発足して監視体制の改善に向けた活動をしている。また、システムインテグレータのビットスターは、顧客サービスごとに監視サーバとモニタを構築しているため、複数の画面で監視データを目視する必要があり、監視の効率化が課題になっていた。
一方、ミラクル・リナックスが支援するProject Hatoholでは、実運用に必要な機能の実装にあたって、実証・評価ができる大規模なクラウド環境を必要としていた。そのような背景から、今回3社の共同検証の開始に至ったとする。
共同検証では、12月にリリース予定のHatoholの最新版(16.12)を利用して、大規模システムや大量ドメインなどのさまざまなテーマにおいて検証を実施する。さくらインターネットとビットスターで蓄積した実際のユーザーニーズをもとに、実用性や大規模環境でのパフォーマンスを検証するほか、運用統合の開発方向性について運用現場の意見を反映していく予定だ。
3社は、今回の共同検証の結果のフィードバックと、ユーザー視点で追加開発した機能を実装したHatoholを2017年夏にリリースする計画だ。