VR技術を受刑者の社会復帰訓練に応用--米国で取り組み - (page 2)

Tas Bindi (Special to ZDNet.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎 2016年12月01日 06時00分

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 VRが一般に認知されるようになったのはこの数年のことであり、大きく成長する時期を迎えようとしているという調査もあるが、この技術はすでに数十年にわたって、医療分野で仮想現実暴露療法の道具として使用されている。多くの研究が、VRは恐怖症や心的外傷後ストレス障害、強迫性障害などを含む、さまざまな精神疾患の治療に効果があることを示している。

 Wahidy氏は、心理学者や精神分析医を刑務所に連れてくるのは、費用が掛かるだけでなく、必ずしも受刑者にとって最善の方法にならないと述べている。

 「精神分析医との会話は、恐ろしく感じられる場合がある」とWahidy氏は言う。「受刑者に話す準備ができていないかも知れないことを(心理学者や精神分析医に)無理に告白させるよりも、仮想的なシナリオを使って教育することを試した方がいい」(Wahidy氏)

 VR技術を受刑者の教育や社会復帰訓練に使おうと考えていたのは、Wahidy氏だけではない。現在ピーターズバーグの連邦矯正複合施設に収監されているChristopher Zoukis氏は、受刑者教育のテーマに熱心に取り組んでおり、最近では、仮想現実や拡張現実を受刑者の教育とメンタルヘルス治療に使用するアイデアについて検討する記事を書いた。

 Zoukis氏はこの記事で、「刑務所の刑罰としての側面を重視する人たちは、仮想現実や拡張現実の利用を、受刑者に高価なゲームやエンターテインメントへのアクセスを与えることになると考えるかも知れない。しかし実際には、コンテンツは教育や職業上のスキル、識字能力、メンタルヘルスなどのプログラムに焦点を合わせたものになるだろう」と書いている。

 「受刑者の教育と社会復帰訓練は、最終的には累犯を減少させ、さまざまな経費節減につながり、釈放された受刑者の社会復帰を助け、元受刑者を社会に貢献する一員に変える」(Zoukis氏)

 Zoukis氏自身、刑務所内で3つの資格を取得したほか、現在は学際的な研究で学士号を取得しようとしており、2018年の釈放後にはロースクールで学ぶことを予定している。

 Wahidy氏の考えでは、Zoukis氏のようなエピソードは、受刑者が価値ある社会の一員になることを支援するために、もっとすべきことがあると証明するものだ。

 同氏は今後Virtual Rehabが、いくつかの大きな課題にぶつかるだろうことは認識している。例えば、米国の一部の州は、刑務所内でのテクノロジの利用について、他の州よりも厳しい法律を持っている。

 「今後政府当局と連携して、法律や規制の観点から何が変えられるかを評価する予定だ」とWahidy氏は述べている。「当然、ビジネスの事例や、医療分野では有効であるという事実、現在のシステムがうまくいっていないことなどを利用することになる」

 Wahidy氏はまた、取り組みをカナダや英国など、米国以外の地域に拡大していく際にも課題があることを認めた。

 同氏は、「すべての国は、それぞれ独自の法律と規制を持っており、各国の事情に合わせる必要がある。言語的な要件についても検討する必要があるが、今は技術の進歩を活用し、助けを必要としている人たちのために先に進むべきだ」と述べている。

 「これは、全員にメリットがあるシナリオだ。税金は下がり、コミュニティはよくなり、人生で第2のチャンスを得るべき人たちに、よりよい未来を作れる」(Wahidy氏)

 Virtual Rehabは現在、米国のすべての州政府担当者やベンチャーキャピタリストと議論を進めており、2017年中頃に取り組みをスタートさせる計画だ。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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