座談会@ZDNet

新たなビジネスモデルをいかに作るか--次世代SIer座談会(2) - (page 5)

小船井健一郎 山田竜司 (編集部)

2017-02-02 07:00

 われわれはMicrosoftのチャレンジからスタートして、ここまで大きなった。でも、マイクロソフトのパッケージを売りに行くわけじゃない。まずはプロジェクトの話をして、そして最後に「前から言っている通り、うちはマイクロソフトの関連会社ですから、使うとしたらAWSじゃなくてAzureですけどいいですか」と言う。そういうクロージングになるような仕組みが、今のわれわれが目指している勝ちパターンです。そういう感じで工数積算をやりつつ、残りのところをどうするか。顧客の規模など、その時々の状況によって悩みもありますが、僕らはそんな取り組みをしています。

 とはいえ、工数積算のままで大丈夫とは思ってません。アクセンチュア自体が変わってきてるので、見積もり通りすぐに動くという感じではない。顧客と合弁会社をつくって運用していくとか、大きい規模であっても丸ごとBPO(Business Process Outsourcing/業務プロセスの一括委託)で引き受ける。顧客の規模が大きいことが多いので、プロジェクトも予算の使い方も全然違うのですが、それにある程度付いていかねばならない。そのためには人の多様化をしていくとともに、ビジネスモデルも多様化していかねばならない。何でもやるという方向に決めてしまったので、いろんなところでアジャストしなきゃいけない。今、そういう状況が生まれていると思います。


アイレット(クラウドパック) 執行役員 エバンジェリスト 後藤和貴氏

 後藤氏:クラウドパックにはあまり戦略はなく、「ここで目立とう」「われわれは他の誰とも違うんだ」ということくらいです。小野さんが新しいことを始めようとした時、「エビデンスはあるのか」と言われたとおっしゃってましたね。クラウドをやり始めた時、そう質問されたら「社長とCTOと執行役員が『これからはクラウドだ』て言ったからです」と答えたでしょう。われわれは、好きなものを売るにはどうすればいいのか探してくるタイプなんですね。ここ数年うまくいったのは、たまたまセンスがよかったからだと思います。ですから「市場を見て」と言いながら、実は見ていなかったりする。むしろマーケティングに協力しながら、市場をつくっていく。そういうやり方でやってきたというのが、正直なところです。

 では、うちにとってSIとは何なのか。AWSを導入するわれわれの場合、顧客との付き合い方は上下対立構造にならない。パートナーと言うと言葉が薄いですが、逃げずに一緒に戦う。うちではそういうスタイルが主流なのであまりトラブルにならないし、その後のお付き合いも長くなっていく。いいものがあって、それをちゃんと伝えているから、顧客に使いこなしてもらえてる。そこはラッキーなところかなと思います。

 あと、プリセールスは営業がほとんど接点を握ってるんですけど、その後はエンジニアが毎日のように話したり、やり取りしたりしている。彼らのおかげで、顧客の満足度が上がっている。エンジニアは顧客とのやりとりの中で課題を見つけてきてくれる。それが割と成長に結びついてるんじゃないかと思います。従業員全体が業界の課題、顧客の課題に敏感だったりするのが面白いですね。

 また、われわれのエンジニアは150人ぐらいいます。クラウドに関しては、新しいものにすぐ飛びつくエンジニアがキラキラしたブログを書くんですが、そういうのはたいてい中身がない。新しいものが出てきた時、誰の役に立つのかわからないけど、とにかく使ってみた。エンジニアにはそういう系統が多いんですけど、うちではそういう人間は割と少ない。むしろ「どうやったら顧客に伝わるのか」「どういうところで価値が出るのか」ということを考える人たちが多いので、われわれが思っている以上に仕事がうまく回っている気がします。

第3回へ続く。

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