小野氏:普通にアサインされただけじゃなくて、そういうちょっと特殊なやり方でやらないと駄目です。NTTコムの中にありながら内製化を目指し、ワンチームでやっている。これもまた特殊ですよね。
安田氏:人件費はどんどん増えていきますしね。それは責任をとるポジションの人がある程度腹をくくっているのですか。
クリエーションライン 代表 取締役社長、安田忠弘氏
林氏:社長もけっこう腹をくくりましたね。最初、クラウド・エヌは儲からないと思われていた。どちらかというと企業・機関向けのクラウドがベースにあったので、クラウド・エヌは冒険というイメージでした。その成功のエッセンスを抽出すると「やる気がある人に任せたこと」「熱意がある若手が中心になったこと」「トップの理解があったこと」「営業を介さなかったこと」「コミュニティをつくったこと」の5つです。
なかでもコミュニティは重要です。われわれはサービスを出す半年前から、CloudStackのコミュニティに入りました。今まではそういう文化がなかったんですけど、僕もわからないながらコミュニティにどんどん出ていった。サービスを立ち上げてもコミュニティの支持がないと駄目なので。最初に立ち上がった時も、CloudStackのコミュニティにすごく助けられた部分があります。
安田氏:やはり、フィードバックがちゃんと返ってくる環境を持つことが大事だと思います。それは新規事業、アジャイル開発とつながるかもしれません。一番身近なコミュニティが率直な意見を出してくれる。それは、ユーザーでもいいと思うんですよ。
和田氏:そこはけっこう微妙で。さっき小野さんがおっしゃってましたけど、いいコミュニティと悪い連絡会みたいなのがある。良くない業界団体もあるけれど、フィードバックが活発に行われているコミュニティは、業界全体にたいしてすごく意味があると思います。
後藤氏:でも最近、コミュニティはものすごく立ち上がってきてるので、どれがいいのかよくわからないですよね。なかにはエンドユーザーの体験とか一方的な話ばかりもあって、そういうところアイデアなんて生まれるわけがない。そういう変な環境になっています。われわれの場合、最初に開発者しかいなかったのがよかった。Amazon Web Servicesも入ってきてなかったので勝手に「これ知ってる?」「あれ知ってる?」という感じで盛り上がって、「これをやってみよう」ということになった。
だからこれはOSS(オープンソース・ソフトウェア)に近いのですが、自分がコミットしたいと思うような環境だった。東京でこれだけ盛り上がるんだったら、全国でも盛り上がるだろうと。そういうことが成立する場所があったのは、すごく大きい。
安田氏:われわれは自分たちがコミュニティの事務局になっているかんじですね。積極的にやっているというよりも、うちの中でそれが好きな人がいる。エンジニアの好奇心はすごくて、そこにコミュニティをつくると知識が集まる。だからまず、自分でそれをつくってしまう。コミュニティの運営は大変なんですけど、エンジニアがそこで楽しそうにしているから、これからもサポートしていきたいなと思っています。
第4回へ続く。