米国Red Hatは11月3日、エンタープライズLinuxプラットフォームの最新バージョン「Red Hat Enterprise Linux 7.3」(RHEL7.3)の提供開始を発表した。今回のアップデートでは、パフォーマンス、セキュリティ、信頼性を中心に構築された新しい機能や機能強化が盛り込まれ、ネットワークとストレージのパフォーマンスを向上し、高帯域アプリケーションの性能を向上させたほか、LinuxコンテナやIoT機能によりエンタープライズイノベーションに新しい選択肢を提供するという。また同時に、関連製品もアップデートされている。レッドハット日本法人が11月28日、抄訳で伝えた。
アップデートの概要は以下の通り。
- パフォーマンス
- セキュリティとID管理
- 信頼性
- Linuxコンテナ関連
- IoT関連
軽量なトンネル機構が追加され、ゲストインスタンスの安全性、効率性、拡張性、柔軟性を向上し、ネットワーク業務のニーズに対応できるようにした。またバルクパケットメモリアロケータの機能強化によって、40Gバイト、100Gバイトのネットワークインターフェイスのパフォーマンスをいずれも改善。
不揮発性メモリデバイスへの対応も強化されているほか、Block SCSIレイアウトフォーマットやFlex Filesレイアウトフォーマットへの対応により、パフォーマンス重視のParallel NFS(pNFS)クラスタをより簡単に管理できるようにしたとのこと。
システムレベルでのアクセスコントロールポリシーを強化するSELinuxのメカニズムをアップデートし、ポリシー作成を迅速化し全体的な使いやすさを向上。
Security Content Automation Protocol(SCAP)をオープンソースで実現し、エンタープライズレベルのLinuxインフラストラクチャ向けに標準化された規制遵守チェックソリューションを提供するOpenSCAPの機能強化により、コンテナおよび従来型の非コンテナの両方のワークロードに対して一貫性のある規制遵守チェックメカニズムを提供し、全体的な運用効率を向上。また、OpenSCAP Workbenchのグラフィカルユーザーインターフェイスを用いたSCAPベースのポリシーの設定を簡易化。
Red HatのIdentity Managementの改善により、インストールのパフォーマンスの改善、Active Directoryによるスマートカード認証への対応、個別のホストやサービスで設定可能な認証強度へ対応。
障害復旧およびスケーラビリティのための、地理ロケーションをまたいだマルチサイトクラスタやストレッチクラスタを管理するためのpacemaker設定機能を改善。
改良されたpacemakerアラートの導入により、管理されたクラスタの状態変化時に通知を設定し作動させるための機能を改善。
改善された管理ツール(Atomic CLI/Cockpit)やコンテナのランタイム(docker engine)のアップデートなど多数の漸進的な改善により、Linuxコンテナへの対応を強化。
また、Technology Previewして、新しいコンテナ署名機能も提供。
IoTセンサなどの省電力デバイスに広く用いられる、Bluetooth Low Energy(BLE)デバイスを用いたコミュニケーションのサポート。
自動車や高性能な工業用のコントローラで用いられるコントローラエリアネットワークController Area Network bus(CANbus)プロトコル向けのカーネルサポート。