HUAWEIは11月24日、東京で開催したイベント「グローバル・モバイル・ブロードバンド・フォーラム2016」において、新たな取り組みとなるバーチャルな新研究プラットフォーム「Xラボ」を発表した。通信産業における、動画サービス、家庭向け、垂直産業向けという3つの成長分野において、“アプリケーション中心”のネットワーク構築を目指す。初日の基調講演で同社取締役副会長兼輪番CEO 胡厚崑(ケン・フー)氏が明らかにした。
グローバル・モバイル・ブロードバンド・フォーラム2016基調講演の際のファーウェイ 取締役副会長兼輪番CEO 胡厚崑氏
胡氏は、開会の挨拶において、多種多様なモバイル・アプリケーションが世界的に普及する現状に触れ、モバイル・アプリケーションが日々の生活からビジネスや社会のあり方まで、身の回りのあらゆるものを変えていると説明した。とりわけ、動画サービス、家庭向け、垂直産業向けの3つの分野で通信産業にかつてない市場成長のチャンスが到来しているという。
その上で、これら3つの市場で事業成長のチャンスを掴むには、既存のネットワークを“技術中心”から“アプリケーション中心”へと進化させる必要があると指摘した。その進化は、以下の3つの要素によって実現が可能であるという。
高度なコネクティビティ
将来のネットワークには、人やモノとを移動体通信でつなぎ、数百万もの新たな利活用を支えるため、高度なコネクティビティ、ネットワーク・パフォーマンスの向上、新たなサービスに対応できる新たなテクノロジが必要となる。
例えば、HD動画では10メガビット/秒の速度で接続し、エンド・ツー・エンドの遅延も50ミリ秒未満であることが求められる。動画サービスへの対応以外にも、IoT分野では広域IoTを実現するテクノロジやコネクテッド・カーをサポートするセルラーV2X技術をネットワークに導入する必要がある。
E2Eのクラウド・アーキテクチャ
アプリケーション中心のネットワークには、真の弾力性を実現するエンド・ツー・エンドのクラウド・アーキテクチャが必要となる。ファーウェイは、顧客である通信事業者がネットワーク・パフォーマンスを向上し、総コストを削減できるように、コア網からアクセス網までの移動体通信の完全クラウド化、とりわけ無線インターフェースに注力してイノベーションを進めているという。
多様なアプリケーションを支えるPaaSプラットフォーム
アプリケーション中心のネットワークには多様なアプリケーションを支える強力なPaaSプラットフォームが必要となる。こうしたプラットフォームでは、ネットワーク機能をオープンにしてアプリケーション開発を加速するために、API、データ・ストレージ、データ・アナリティクス機能、クラウド管理サービスなどを提供する必要がある。
胡氏は以上のように説明した上で、「ファーウェイは移動体通信を活用したエコシステムのサポートと実現を目指していきます。すでに多くの進展を見ましたが、さらなる発展を望んでいます」と述べ、バーチャルな新研究プラットフォームであるXラボを発表した。
Xラボは、個人、垂直産業、家庭の3分野における移動体通信のを探求するために設立された研究プラットフォーム。このうち、個人利用時のユーザー体験を研究する「mラボ」は動画サービス、ライブ中継、VR/ARなどの新たなモバイル利用シーンにおいて、没入感のあるユーザー体験創出に注力。また、「vラボ」は垂直産業に重点を置き、移動体通信技術を活用して垂直産業のデジタル変革を支援する方策を探求する。3つ目の「hラボ」はより多くの家庭をインターネットに接続し、ブロードバンド接続を活用したスマート・ホームの実現に注力していくとのこと。