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金融機関が「FinTechベンチャー恐怖症」になる理由

小川久範

2016-12-14 07:00

 金融機関や大手企業の中には、ベンチャーと付き合うのが恐いという人がいる。ベンチャーと仕事をしたことがなく、実態が分からないためである。最近でこそベンチャーがメディアで取り上げられる機会は増えている。それでも一般の人々にとって、ベンチャーはまだまだ縁遠い存在である。

 前回の結論として、金融機関とベンチャーの人的交流が大切であると述べた。今回はベンチャーとの交流に不安を感じる金融機関の方に向けて、FinTechベンチャーを立ち上げる起業家がどんな人たちで、どのように付き合えばいいのか説明したい。

金融機関はベンチャーが恐い?!

 金融機関と一言で言っても、そこにはさまざまな仕事があり、日常的にベンチャーと接している部署もある。銀行はベンチャーに対して融資をすることがあるし、証券会社には株式市場に上場する可能性があるベンチャーを開拓する部隊がいる。こうした業務に従事する者は、起業家とはどのような人で、どう付き合えばいいのか、ある程度の知見を持っている。一方、社内で完結する業務に従事する者や、顧客としての立場でしか社外と接したことがない者にとって、ベンチャーは得体の知れない存在であろう。一昔前には、ベンチャーは米国のもので、日本にはほとんど存在しないと思っている者までいた。


 金融機関がベンチャーを恐れる理由として、まず考えられるのはコンプライアンス面での不安である。有望分野のベンチャーというお金の匂いがするところには、さまざまな人間が群がってくる。その中には反社会的勢力という、多くの企業が取引を禁止している存在が含まれている懸念がある。

 そこまで極端な話ではなくても、ベンチャーは大手と比べて管理体制が未熟で、内部の不正や情報流出などのトラブルが心配されることがある。ネットベンチャーにおいては、かつてはゲームの「コンプガチャ問題」があり、最近はキュレーションサイトにおける不正確な情報の掲載や他サイトからの剽窃(ひょうせつ)が問題視されており、コンプライアンス意識が低いと言われても仕方がない企業が存在するのは否定できない。

 カルチャーの違いも、金融機関がベンチャーとの付き合うことを心配する理由の1つと考えられる。金融機関の人間は、顧客に失礼がないようにとスーツを着る。また、勤務中はSNSの利用が禁止されているところが多い。

 一方、ベンチャーではカジュアルな服装が主流で、業務でSNSを利用することも珍しくはない。どちらが良くて、どちらが悪いというものではないが、スーツを着ることがビジネスマナーと思っている人間は、カジュアルな格好で商談に訪れる者を、ビジネスのパートナーとして不適切と思うかもしれない。また、「これから○○銀行を訪問します!」とSNSでチェックインすることは、自社の動向が外部に漏れるとして、金融機関は快く思わない可能性がある。

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