人工知能とアートの関係--なぜIT企業がデザイン会社を買うのか(前編) - (page 3)

増村岳史

2016-12-17 07:00

デッサンロボットを作ってしまったアーティスト

 冒頭にて決してAIにとって代わられないもの、それはアートであると述べた。実はAIを作品制作の手段、言うなれば画家が絵を描くための絵筆や絵の具のように、ツールとして作品を創っているアーティストがいるのだ。


 彼の名前はパトリックトレセット(PatrickTresset)。フランス人でロンドンを拠点に作家活動をしており数々のアーティストを輩出しているロンドン大学ゴールドスミスカレッジの客員研究員でもある。

 彼は自らデッサンロボット(名称:ドローイングロボット)を開発し、ロボットが描いた作品、そしてロボットに絵を描かせる行為そのものを作品化しているのだ。つまり彼はロボットがデッサンを描くことをパフォーマンス化しているのである。

 ただし、ロボットが描いたデッサンであるゆえ、どの絵も画一的でお世辞にも決して上手なデッサンとは言えない。逆にこのデッサンロボットが描いた絵を見るにつけ、アートが決してAIにとって代わることができないと実感できるのだ。

増村岳史
学習院大学経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。マーケティング、営業を経て映画、音楽の製作および出版事業を経験。リクルート退社後、音楽配信事業に携わったのち、テレビ局や出版社とのコンテンツ事業の共同開発に従事する。2015年アートと人々との間の垣根を越えるべく誰もが驚異的に短期間で絵が描けるART&LOGIC(アートアンドロジック)を立ち上げ現在に至る。

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