次世代のネットワークが具備すべき特徴とは
特別講演には、アイ・ティ・アール(ITR)のプリンシパル・アナリスト甲元宏明氏が登壇。「IoT/クラウド時代を勝ち抜くための企業ネットワーク構築指針」と題し、"ビジネス貢献のためのネットワーク"を実現するための考え方やアプローチを解説した。
甲元宏明氏
アイ・ティ・アール(ITR)
プリンシパル・アナリスト
甲元氏はまず、ITRが毎年行っている調査「IT投資動向調査」の最新結果を紹介。ITに求められるテーマは「売上増大への直接的な貢献」「業務コストの削減」「顧客サービスの質的な向上」といったビジネス貢献が中心であると指摘。そのうえで、「実際、事業が好調な企業ほど、先進ITに取り組む傾向が強い。企業アプリケーションに関するITイノベーションは多く生まれており、競争を勝ち抜くためのビジネスニーズを実現する環境は整いつつある」と指摘した。
ただ、ネットワークについては課題があるという。調査では、「ネットワーク」や「クラウド」といった基盤を重視するユーザー企業が増えている傾向があり、いずれも昨年より、順位を上げている。
「ネットワークがビジネスに貢献できない根本原因は、戦略性のなさ、指向性のなさ、先進性のなさです。自社ネットワーク戦略を策定し、中長期ビジネス戦略からネットワークに対する根本要求を導き出し、10年後を見越したテクノロジを採用していくことが求められます」(甲元氏)
その上で、甲元氏は、次世代企業ネットワークが具備すべき特徴として、「UX重視」「Software Defined」「アジャイル」「仮想化」「オープン」「自動運用」の6要素を挙げた。UX重視というのは、これまでのようなネットワークのパフォーマンスを重視する姿勢から、ユーザーのUXを重視する姿勢へと変えることだ。そして、Software Definedは、外部プログラムから動的なネットワーク制御ができることで、アジャイルは要求や環境変化に動的、俊敏にネットワークを提供/集結することだ。
ユーザーを見てビジネスニーズに応えるわけだが、そのためには、仮想化によって物理の制約をうけない論理的なネットワーク制御や、オープン・スタンダードに基づいた実装でネットワークを長寿命化すること、各種自動化ツールやAIや機械学習の知見を活用した自動運用が必要になるという。
最後に「これまでのように、IT部門が成熟したネットワーク技術や常識的なネットワーク構成、運用手順にこだわっていては次世代ネットワークは実現できない。企業として、どのようなネットワークを目指すのか、ネットワーク担当者だけでなく、IT部門全体で考えていく必要があります」と訴えた。
企業による講演も以下のように行われた。熱心な聴衆の姿からは「ビジネスを駆動させるネットワークインフラ」に対する高い関心をうかがうことができた。ZDNet Japan /TechRepublic Japanでは、ウェブおよびセミナーで、随時情報を提供していく。ぜひご注目頂きたい。
- シスコシステムズ 丹羽博幸氏「デジタル時代に必要とされるこれからの企業ネットワーク」
- 日本IBM 山下克司氏「INDUSTRIAL IoTとオープンなネットワークアーキテクチャー」
- ユニアデックス 上水公洋氏「10年後の企業ネットワークのために今行うこと」