アプリケーションは新たな通貨--開発環境のオープン化を進めるマイクロソフト

取材・文:阿久津良和 構成:羽野三千世 2016年12月09日 08時17分

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 日本マイクロソフトは12月7日、Microsoftがニューヨークで開催した開発者向けイベント「Connect(); 2016」を受けて、日本でも記者説明会を開催した。


日本マイクロソフト クラウド&エンタープライズビジネス本部 クラウドプラットフォーム製品マーケティング部 部長 斉藤泰行氏

 同社 クラウド&エンタープライズビジネス本部 クラウドプラットフォーム製品マーケティング部 部長 斉藤泰行氏は、Connect(); 2016のキーワードとして掲げた「Any dev, Any app, Any platform」を、「どのような開発者でも得手不得手の開発言語がある。われわれはどの開発言語においてもアプリケーション開発を可能にし、どのようなプラットフォームでも稼働する環境を提供する」という意味だと説明した。

 さらに「Software + Data = Intelligent Apps」というもう1つのキーワードについても、「データをアプリケーションに統合し、データプラットフォームや開発プラットフォームを動かすという概念」(斉藤氏)であり、その方向性から生まれたのが「SQL Server for Linux」などOSに縛られないアプリケーション群だと語った。


WindowsやmacOS、Linuxを網羅する開発プラットフォーム、およびデータプラットフォーム

 Microsoftは、Microsoft AzureやVisual Studioと連携する多様なアプリケーション開発プラットフォームを提供している。各製品の内容は「Connect(); Japan 2016」のレポート記事で紹介しているので、本稿では日本マイクロソフト クラウドプラットフォーム製品マーケティング部 エグゼクティブプロダクトマネージャー 相澤克弘氏が語ったユーザー事例について述べたい。


日本マイクロソフト クラウドプラットフォーム製品マーケティング部 エグゼクティブプロダクトマネージャー 相澤克弘氏

 会員制のECサイトを運営するJet.comは、2014年に設立、2015年にサービスインし、2016年8月にはWal-Martが30億ドルで買収した急成長企業だ。「Jet.comは、Azure上のHadoopを利用してリアルタイムで商品価格を変動させ、ユーザーに対して最も安い価格を提示することで人気を博したECサイト。Azure App ServiceやSQL Databaseによる拡張性と、Visual Studio Team Servicesによる開発環境を用いて、たった1年という短期間で成長した」と相澤氏。

 Jet.comだけではない。B2Cビジネスを展開するとある国内中堅企業でも、同様にAzureを活用し、最近では顧客の利用回数増加を目的に、Azure Machine Learningによる分析を行うようになった。これらの事例を引き合いに、相澤氏は、「アプリケーションは新たなビジネス通貨。データは新たな付加価値の源泉」と強調した。

GoogleやRedHatと連携

 また、Microsoftが近年注力しているオープン化について、Connect(); 2016では、MicrosoftがLinux Foundationにプラチナメンバーとして参画し、GitHubへの貢献数もGoogleやFacebookを抜いてトップであると発表した。さらに、「.NETをすべてのプラットフォームで稼働させることは、開発者の利益につながる」(相澤氏)との考えから、.NET Standard Libraryの拡充を図る。

 Connect(); 2016で、.NET FoundationのTechnical Steering GroupのメンバーとしてGoogleが参画することも発表されたが、「Googleは(フロントエンドウェブアプリケーションフレームワークである)AngularJSに、(Microsoftの)TypeScriptを用いているように、以前から協力関係にあった。RedHatやSamsungといったプレーヤーと一緒に.NETを広げる」(相澤氏)

サーバレスアーキテクチャ「Azure Functions」の特徴

 同日は、Connect(); 2016のタイミングで一般提供(GA)になったサーバレスアーキテクチャサービス「Azure Functions」についても説明した。

 「自分が作ったビジネスロジックを試す際、オンプレミスでは数日を要する作業も、Azure Functionsならすぐに実行できる」(相澤氏)。Azure上で仮想マシンを展開し、テスト環境を構築する場合は稼働時間がそのまま課金対象となるが、Azure Functionsは実行単位の課金となるため、コストを抑えることができるのが特徴の1つ。ただし、「例えばECサイト構築や業務プロセス処理には不向き。すみ分けが必要だ」(相澤氏)

SQL Serverシリーズの開発期間を短縮


日本マイクロソフト クラウド&エンタープライズビジネス本部 エグゼクティブプロダクトマネージャー 北川剛氏

 Connect(); 2016では、SQL Server 2016、SQL Server for Linux、そしてSQL Server v.NextといったSQL Serverシリーズの新発表(関連記事)があった。同社がここでアピールしたのは、これまで18~24カ月のスパンだったSQL Serverシリーズのメジャーバージョンアップが、「(クラウドファースト時代の)市場需要に対応するために」(斉藤氏)、1年に短縮された点だ。

 同社 クラウド&エンタープライズビジネス本部 エグゼクティブプロダクトマネージャー 北川剛氏は、「SQL Server v.Nextは3月にプライベートプレビュー、11月にパブリックプレビューをリリースしているが、2017年の一般提供(GA)を目指して毎月新しいCTP(コミュニティ技術プレビュー)をリリースしている」と説明。GAになるまでに、Azure Active Directoryとの連携などを実現すると述べた。

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