企業におけるAIの実装
AIは明らかに発展途上の分野だが、企業での採用と実装は進んでいる(採用していること自体、十分に認識できていない企業すらある)。先進的な自然言語生成(NLG)システムを開発しているNarrative Scienceは7月、235人の企業幹部を対象として、AIを使用したアプリケーションの配備状況を調査し、「Outlook on Artificial Intelligence in the Enterprise 2016」(2016年版、企業におけるAIの展望)としてまとめた。それによると、以下の状況が見えてくる。
市場に混乱が見られるものの、AIの普及は目前である。AIを採用していると回答したのは調査対象のうちわずか38%だったが、それ以外の回答者の88%も予測分析や、レポート作成やコミュニケーションの自動化、音声認識/応答といったAI技術を実際に使用していた。
予測分析は企業に浸透している。回答者の58%は、現在保持しているデータを分析して将来について予測するために、データマイニングや統計、モデリング、機械学習といった技術を利用していた。またそれに続いて、およそ25%はレポート作成やコミュニケーションの自動化や、音声認識/応答といった技術を利用していた。
データ科学に精通した人材の不足が企業活動に影響を与えている。回答者の59%は、ビッグデータ技術を活用した価値の創出を妨げる最大の障害として「データ科学に精通した人材の不足」を挙げている。その一方で、業務上の問題を解決したり、洞察を導き出すためのビッグデータ使用に必要なスキルを有しているとした回答者のほぼすべて(95%)はAI技術も活用していた。
テクノロジに対する投資から最大の利益を引き出している企業は、イノベーションを優先している。革新的な戦略を展開している回答者の61%は、ともすれば見落としてしまいがちなデータから機会を洗い出すためにAIを使用していた一方、そういった戦略を展開していない回答者のうち、機会の洗い出しにAIを使用していると答えたのは22%しかいなかった。
Bloomberg Betaの「Machine Intelligence 3.0」(機械知性3.0)と題された最近のインフォグラフィックスでも明らかなように、AIを手がける企業はかつてないほど増えてきており、「テクノロジのスタック」が作り出されてきている。
提供:Bloomberg Beta