大木豊成「Apple法人ユースの取説」

副業するキミにはiPhoneを渡そう

大木豊成

2016-12-12 13:00

 1980年代に「副業」というと、決して良いイメージがなかった。なんとなく裏稼業のようなイメージもあり、またよほどお金に困っている人という印象もあった。それから30年経って、現在の副業とはどういうものなのだろうか。

副業ってなんだ?


 その昔は、「副業などもってのほかだ」と言われたし、会社員が副業をしなくていけない理由などない、と思っている人が多かった。もちろん当時は、就業規則に副業禁止が明記されている企業がほとんどだった。しかし、ここにきて、副業を認める企業が増えてきた。そこにはさまざまな背景がある。

 1つには、東日本大震災や熊本地震などの震災でボランティアをした経験から、週末にNPOで働きたい、といった収入とは関係のない動きをする人が出てきたことだ。しかし、これは多数派ではないだろう。一番多いのは、ネットショップの経営だ。オークションサイトやオンラインストアで物品販売をする人は増えている。あるいは、副業と呼ぶべきかは悩ましいところだが、デイトレーダーのようなオンライン証券会社で、株の売買をしている人もいる。筆者の知り合いの会社では、デイトレードをしている社員が、トイレに篭って一時間ほど出てこなかったというトラブルがあったそうだが、そういう特殊な人を除いて、本業に支障がなければ追求されないのが一般的ではないだろうか。

 また、筆者の知り合いの中には、個人的に競馬向けアプリケーションを開発し、競馬の勝率を高めて1年間で車を買った強者もいる。アプリケーションを販売したかったわけではなく、あくまで競馬の勝率を上げるための開発だったそうだ。何を副業と呼ぶべきか、というところも、今後の企業、そしてそこで働く社員たちのテーマになっていくのではないだろうか。

副業認可を実施し始める大企業

 2月、製薬大手のロート製薬が新CI(コーポレートアイデンティティ)「NEVER SAY NEVER」を制定するなかで、「社外チャレンジワーク制度」として副業を認め、その社内公募を始めた。その結果、6月には60人の応募があったことを発表している。これは会社が強制するものではなく、社員の意見が採用されたものによる。薬剤師の資格を生かして薬局で働く社員がいれば、創業する社員もいるということだ。

 また、「副業禁止を禁止しよう」というブログを書き、話題になったのがサイボウズの青野慶久社長だ。副業禁止という制度自体が古い考えと働き方に基づくものであり、自社の社員には自由に副業を持つことを認める、というのだ。ベンチャー企業のクラウドワークスも、自社の社員に対して副業を認めている。自社サービスであるクラウドソーシングも、副業としては適していると言えるのではないだろうか。

副業認可のポイントは利益相反

 先出のクラウドソーシングでの副業において、一番問題になりやすいのは「会社の業務のために、業務時間中に身につけたスキルを生かした副業」だろう。例えば、ウェブデザイン会社に入社した社員が、会社の業務時間中に会社の業務としてAdobe PhotoshopやIllustratorの使い方を身に付け、その能力を生かしてロゴ作成やホームページ作成の仕事をクラウドソーシングで請け負った、とすると会社で請け負うべき仕事を個人で請け負った、と見なされる可能性もある。

 さらに、PhotoshopやIllustratorを自分で契約せず、会社のものを利用したとなるとアウトになってしまうかもしれない。そのあたりは、副業を開始する前に、上司たちとよく相談しておく必要があるし、会社としての方向性、規律も整備しておく必要があるだろう。

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