副業を認めることができるための仕組みづくり
昭和の時代に副業を認める企業がほとんどなかったのは、高度成長期で副業を必要としなかった人たちが多かった、ということもあるが、一方で、副業をする仕組み、認める仕組みがなかったことも大きな要因だろう。
出社しないことには仕事にならず、外回りの営業も直行直帰はほぼ認められなかった時代には、副業先にも出社しなくてはならず、副業はとても困難だったと言える。仮に上司が直帰を認めたとしたところで、会社に戻らないと見積書、提案書を作ることができず、報告書も社内で作成せざるを得なかった企業がほとんどだったからだ。
また、数少ない副業体験者としては、昼間は会社に勤務する社員が、夜のバーテンダーやホステスといった仕事を兼務する、というもので、つまりは何らかの事情により、昼間の給与では足りない人たちだった。
その時代から考えると、現代はクラウドサービスが普及し、メールもクラウドを活用する企業が増え、1人1台のパソコンを持ち、スマートフォンを支給されている企業であれば、出社しなくてもできる仕事があるだろう。筆者が所属するイシンでも、週に1、2回くらいは出社しなくても問題なく仕事ができる。つまり、出勤時間を節約することで、プライベートの時間を増やすことができ、あるいは副業をこなすことも容易になるのではないだろうか。
副業するならiPhoneがいい
2016年、SamsungのGalaxy Note7のバッテリーが発火し、リコールはもとより、航空会社各社が機内持ち込みを禁止するといった大問題に発展し、このタイミングで多くのAndroid端末メーカーが風評被害を受けることになった。
もともとAndroid端末は、発売から一年も経たないうちに、毎年あるOSのアップデートに対応しきれなくなる機種が多いことが問題になっていたが、それに追い打ちをかけたようなトラブルだった。現在、Samsungは他端末の広告を必死に展開しているが、これほど大きなスマートフォンの事故は珍しいこともあり、当面は同社製Android端末の買い控えは避けられないだろう。まして法人での導入を考える人たちは少ないだろう。価格だけでリスクを背負いきれないからだ。
一方で、同年9月に発表されたiPhone 7の売れ行きが好調なようだ。最近は、iPhoneのカメラ性能の格段の進化により、デジカメを本当に使わなくなった、という声を多く聞く。また、FeliCa搭載により、ApplePayの普及、そしてSuicaの採用はとても大きい。以前紹介したように、Suicaでの経費精算を導入する企業が急増しているのもその結果といえるだろう。スケジュール管理も、iPhoneが1台あればOKだ。そう考えると、副業を許可する企業は、社員にiPhoneを持たせることで、自社の業務効率もあがるのではないだろうか。
副業をする社員にiPhoneを持たせるべき理由と、取り合いになる社員
副業をする社員の場合、場所を問わない働き方が重要なポイントになってくる。いちいち帰らないとできない仕事や、その場に行かないといけない販売職やサービス業は時間的拘束がある。そう考えると、可能な限り「滞在地を問わない副業」が理想になる。そして、本業も滞在地を問わない業務が理想だ。ここでは、全ての業務がリモートワーク可能でなくてもいい。ある業務は出社しないといけないが、ある業務は出社しなくてもいい、というように整理できればいいだけだ。そうすれば、社員としても、月曜日から水曜日までは出社しないといけない、あるいはお客様先に行かないといけないけれど、木曜日、金曜日は本業と副業の両方に携わる、といった働き方ができる。
優秀な社員を採用することが難しいということは、人材採用に一度でも関わったことがある人なら皆実感しているだろう。まして、優秀な社員が退職してしまうことは、会社にとって、そしてその社員を育成した管理職にとって相当なダメージだ。そうならないためにも、自社の業務環境を見直し、iPhoneやApple Watchなど業務効率を高めるデバイスを支給し、社員にとってより良い環境を整えること。それができるだけで、優秀な社員が継続して働いてくれる可能性が高まるし、新たに優秀なメンバーが増える。