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山谷剛史の「中国ビジネス四方山話」

中国で4000万人近くが利用する「一起作業」人気の秘密は

山谷剛史

2016-12-13 08:31

 PC・スマートフォン・タブレット向けの「一起作業」という教育サイト・アプリが人気だ。一起作業は学習コンテンツを無料で提供するクラウドサービスだ。パソコン・スマートフォン・タブレットで、英語や中国語の文章を朗読し、算数クイズに答え、やればやるほど自分のキャラクターは成長していくというもの。例えば検索サイト「百度(Baidu)」で一起作業で動画検索すると、実際の利用イメージが見えてこよう。

 10月には2705万人の小中学生が登録するだけでなく、1105万人の親と137万人の教師が登録している。より多くのユーザーが利用することで毎日5TB以上のデータが、現在までにトータルで500TB以上のデータが蓄積されている。このビッグデータの分析により、各個人の状況にあわせた内容を提供する。

 中国の書店や電脳街などでは、コンテンツデータを内包し、オフラインで教科書の内容をなぞって勉強できるAndroidやWindowsCE搭載の「学習機」なるものが売られているが、その市場を食っていくことになろう。

 従来、親(祖父母の場合もある)が子供の勉強を見ているが、中国の小学校の勉強の本は小学校低学年といえど分量は多く、ときに難題が混ざり、慣れない大人が解けない場合もある。かといって中国の伝統的な概念では、できない親(祖父母)でも立てて言うことを聞かなければならない。かといって家庭教師を志望する大学生はゴマンといるが、物価と人件費が上がり続ける中国で簡単に雇えるわけでもない。

 最近ではネットで遠隔で家庭教師を行うサービスも登場し、中国の教育地域格差は少しは改善したが、それでも金がかかることには変わりない。一起作業は最も手軽に利用できる学習ツールであり、小学校教育の底上げが狙えるアプリといえる。

 加えて従来あった「先生の英語の発音がひどい」「誰もが宿題をコピーし内容が一緒」「先生が各人の学習状況を把握できていない」「宿題がつまらない」「各種教材がそれぞれ高い」などといった問題があった。一起作業を使えば「まともな発音の英語で聞き取りする練習ができる」「コンテンツが豊富で、各人にあわせたコンテンツが出る」「学習状況が把握でき、苦手な分野が把握できる」「ゲーム感覚でやりがいがある」「パソコンやスマートフォンやタブレットでできるので、場所を問わないし、教材が重くもかさばりもしない」といったアドバンテージとなる。

 2011年にリリースされた一起作業は、多くの学生や親に評価され、実績が先を行ったのち、2012年11月に500万ドル、2013年12月に1000万ドル、2014年に2000万ドル、2015年9月に1億ドルの融資を受けた。また中国政府が各業界へのインターネットの導入「互聯網+」を提唱する中で、2015年9月には、中国政府教育部によるスマート教育の実験的プラットフォームに認定された。

 さらに勢いのついた一起作業は同業サイトである「快楽学」を買収し、学習ノウハウを吸収し業務を拡大。無料で優良サービスをリリースし、評価され、融資を受けて一気に拡大していく。一起作業は今の中国らしい成長モデルで勢い成長したわけだ。

山谷剛史(やまやたけし)
2002年より中国雲南省昆明市を拠点に活動。現在NNA所属。中国、インド、アセアンのITや消費トレンドをIT系メディア・経済系メディア・トレンド誌などに執筆。メディア出演、講演も行う。著書に「中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立(星海社新書)」「新しい中国人 ネットで団結する若者たち (ソフトバンク新書)」など。

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