日本株展望

中国景気に回復色--円安・トランプ期待に続く追い風に

ZDNet Japan Staff 2016年12月13日 12時25分

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今日のポイント

  1. 米国と中国の景気回復がドライバーとなって、世界全体の景気が好転。世界経済は資源安ショックから立ち直り、逆に資源安メリットを享受する局面に入ってきている
  2. 日本企業の業績予想を見ると、上半期は円高で下方修正が多かったが、ここからは、円安と米中景気回復の効果から上方修正が増える見込み

 これら2点について楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する。

トランプ相場の正体

 ドナルド・トランプ氏が米大統領選で勝利してから、世界経済の見通しが好転し、ドル高・世界的な株高が続いている。トランプ氏当選をきっかけにスタートしたので、この株高はトランプラリーと呼ばれている。ただ、現実にはトランプ氏はまだ大統領になっていないし、まだ何もしていない。

 足元の世界的な株高には、もちろんトランプ氏の経済政策への期待も含まれているが、それ以上に効いているのが、世界景気の改善傾向がはっきりしてきたことだ。GDP規模で世界第1位と2位の米国と中国の景気回復が世界経済の見通し好転に大きく寄与している。不振を極めていたブラジルやロシアの経済ですら、資源高を受けて急速に持ち直している。

 中国景気は昨年10~12月が大底で、今年に入ってから回復が続いている。それが“李克強指数”の動きに表れている(李克強指数:中国の李克強首相は、首相になる前の2007年に「中国のGDP統計は信頼できない。鉄道貨物輸送量、銀行融資残高、電力消費の変化を見た方が実態がわかる」と語ったとされる。その話を受け、鉄道貨物輸送量25%、融資残高35%、電力消費40%の構成で作られた指数。中国経済の実態をよく表していると評価されている)。

李克強指数の動き:2005年1月~2016年10月

李克強指数の動き:2005年1月~2016年10月
(出所:ブルームバーグ)

 李克強指数を見ると、中国景気が以下のように推移してきたことがわかる。

  1. 2008年にリーマンショックで悪化
  2. 2009年は4兆元の公共投資で急回復
  3. その後、2015年まで低迷
  4. 2016年に入り回復色が強まる

 窪田氏は、トランプ氏が当選せずに、ヒラリー・クリントン氏が当選していても、同じように世界景気の改善を反映した世界的な株高は起きていただろうと話す。

 大統領選に敗れたクリントン氏は、得票数ではトランプ氏を約200万票上回っていたことがわかっている(獲得選挙人数で当落を決める選挙制度によりトランプ氏が当選)。もし、クリントン氏が当選していれば、今の株高はクリントンラリーと呼ばれていただろう。

なぜ今、世界景気が好転するのか

 資源安メリットが、世界景気にプラス貢献するタイミングに入ったと考えられる。資源急落の直後は、資源国だけでなく、資源利用国にもマイナス影響が及び、世界景気を悪化させる。ただし、資源急落から1~2年経過すると、世界は資源安ショックから立ち直るだけでなく、資源安メリットが世界経済の拡大に寄与するようになる。

 これは、過去にも経験があることだ。1980年代前半は、オイルショックが終わって原油価格が大きく下落した時だ。1987年は、原油急落によって、産油国からのプラント受注が大きく減少し、先進国の景気も悪化した。原油安が世界景気を悪化させているという意味で「逆原油安ショック」という言葉が広がった。ところが、逆原油安ショックは1年しか続かなかった。1988年になると、世界経済は資源安メリットから好調に転じた。

 今、同じことが起こりつつあると考えられる。世界経済は、資源安ショックから立ち直りつつあるだけでなく、逆に資源安メリットを享受し始めている。

 日本も中国も資源を輸入して利用する国だ。資源急落は本来、中国と日本経済にプラスのはずだ。ところが、日中経済とも資源急落によって当初はダメージを受けた。今、資源価格反発でようやく資源産業が持ち直すとともに、資源安によるコスト低下が経済全般にプラス寄与し始めている。

 米国も同じだ。米国は、基本的には資源輸入国だが、資源急落直後には、シェールオイル/ガス業界の悪化が米国景気の足を引っ張った。今、石油関連産業の回復と資源安メリットで米景気は再び強含んでいる。

 中国経済はさまざまな構造問題を抱えているが、当面は景気が持ち直す局面が続くと考えられる。

日本の企業業績を資源安効果が押し上げ

 2017年3月期の東証1部上場主要1377社の業績予想を見ると、円高が大きなマイナス要因となる中、資源安効果が大きなプラス効果となっていることがわかる。

東証1部上場3月期決算主要1377社の2017年3月期業績(会社予想):7月25日時点と12月12日時点の比較

東証1部上場3月期決算主要1377社の2017年3月期業績(会社予想):7月25日時点と12月12日時点の比較
(出所:楽天証券経済研究所が集計、米国基準・IFRS採用企業は、連結税前利益を経常利益と見なして集計)

 9月中間決算発表時に、多くの企業が下期業績予想の為替前提を1ドル105~110円から100円と円高方向に見直した。その結果、中間決算発表時には輸出企業を中心に利益予想の下方修正が増え、7月25日時点と12月12日時点の業績予想を比較すると、経常減益率は大きく、最終利益の増益率は小さくなっている。

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