SD-WAN登場の背景
データセンター内の仮想化・可視化・最適化として注目を浴びていたSDNを別の分野にも応用できないかという研究が、アメリカのスタートアップ企業を中心に行われていました。そして、数ある「SD-xxx」が生まれる中、2014年 Interop New Yorkにて「SD-WAN」というキーワードが世の中に認識されるようになりました。日本市場においては、2015年6月に開催されたInterop Tokyoがきっかけとなりました。
当時のSD-WANがターゲットとする市場はインターネットのみでした。ビジネスターゲットは新規スタートアップ企業を想定しており、オフィス立ち上げの障壁になる「専用線+CLIベースの複雑なルータ設定作業」を、「インターネット回線+SD-WANコントローラ」に置き換えることで、迅速かつ安価にVPN回線を開通させようというアプローチでした。
初期のSD-WANコンセプト
2015年後半から2016年前半にかけて、北米を中心に「SD-WAN」が急激に普及しました。この理由は、北米では専用線とインターネット回線のランニングコスト差が大きいことから本コンセプトが広く受け入れられ、導入によるコストメリットも享受できたことです。
この時期にSD-WANを導入した企業の多くは、スタートアップ企業や小規模オフィスを数多く構えるユーザーで、1拠点当たりの従業員数は少なく、自社システムの大半をAWSやAzureなどのクラウドにシフトしている環境がほとんどでした。
<後編に続く>- 畳家 庄一 ネットワンシステムズ株式会社 市場開発本部 ソリューション・サービス企画室 第1チーム
- 2006年よりDPIを実装したQoS/FW/WoC製品を中心に、 L4~L7で稼働するネットワーク製品の提案、評価、検証、技術サポートを担当。現在はクラウドを前提としたSD-WAN・Hybrid-WAN市場の調査、検証、サービス開発、および、ソリューション開発に取り組んでいる。