AI開発に実用される量子コンピュータ--人工知能研究を加速

大関真之 2016年12月21日 07時00分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 「量子コンピュータが人工知能を加速させる」――。そんな文言を聞いたら多くの読者は驚くに違いない。多くの読者は未来を期待せずにはいられないはずだ。しかし量子コンピュータという言葉に多少なりとも抵抗を感じるはずだ。

 量子コンピュータは1990年代から現在まで多くの研究が積み上がり、今後の計算技術の新機軸となるのは間違いないだろうと期待されている技術だ。しかしながらその実現には多くの年月が必要とされるだろうと言われて、実際の利用やビジネスの世界での応用には程遠いものと敬遠されてきた側面は否めない。


量子アニーリング形式の量子コンピュータを開発しているD-wave

 GoogleとNASA(米航空宇宙局)が2015年暮れ頃にD-Wave Systems社が販売する世界初の商用量子コンピュータに関する研究成果を報告した。

 「既存のコンピュータより1億倍速い」というセンセーショナルなニュースは瞬く間に世界に広がった。そもそも量子コンピュータが販売されていたということをこの記事を読むまでに知らなかった読者もいるだろう。

 実は量子コンピュータは買える。その量子コンピュータは、これまでに聞いてきた「因数分解が解ける」というようなものとは異なるものである。しかしその量子コンピュータは、ビジネスでの活用が最も近い、実用面でのメリットが非常に大きいものであることがわかってきた。

 この量子コンピュータは、超伝導の微小リングを集積化したチップでできており、ありとあらゆる可能性を探索して「最適な解答」を瞬時に割り出すことができる。今となっては当たり前になっている地図上での最短経路を探し出すというものも「最適な解答」を求めるというタスクだ。世の中は最適化問題であふれている。

 例えば金融。どの金融商品を買うかどうかの判断には利益とリスクの両者を考慮した上で「最適な解答」を要求される。そのような問題の解決に実際にこの量子コンピュータは利用されている。

 この量子コンピュータの動作原理は「量子アニーリング」と呼ばれるもので、日本人の研究者が発案した計算手法であり、その方法に準じたコンピュータを実際にカナダのベンチャー企業であるD-Wave Systems社が製作したのだ。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連ホワイトペーパー

SpecialPR

連載

CIO
研究現場から見たAI
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
内製化とユーザー体験の関係
米ZDNet編集長Larryの独り言
今週の明言
「プロジェクトマネジメント」の解き方
田中克己「2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
Fintechの正体
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
情報通信技術の新しい使い方
三国大洋のスクラップブック
大河原克行のエンプラ徒然
コミュニケーション
情報系システム最適化
モバイル
通信のゆくえを追う
セキュリティ
セキュリティの論点
ネットワークセキュリティ
スペシャル
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
CSIRT座談会--バンダイナムコや大成建設、DeNAに聞く
創造的破壊を--次世代SIer座談会
企業決算を追う
「SD-WAN」の現在
展望2017
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell EMC World
AWS re:Invent
PTC LiveWorx
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
さとうなおきの「週刊Azureなう」
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
中国ビジネス四方山話
より賢く活用するためのOSS最新動向
「Windows 10」法人導入の手引き
Windows Server 2003サポート終了へ秒読み
米株式動向
実践ビッグデータ
日本株展望
ベトナムでビジネス
アジアのIT
10の事情
エンタープライズトレンド
クラウドと仮想化