人工知能とアートの関係--なぜIT企業がデザイン会社を買うのか(後編)

増村岳史 2016年12月18日 07時00分

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AIは贋作作りが最も得意?

 AIを駆使して17世紀のバロック期を代表する画家レンブラントの新作が完成したニュースは記憶に新しい。

 ディープラーニングによって作品の細微にわたる特徴を分析したのちに、仕上げとして3Dプリンタを使い“レンブラント”を再現したのである。これはAIが過去の偉大な芸術家の才能そのものを模倣、完全コピーすることに成功した顕著な例である。このレンブラントを完成したチームは「テクノロジとアートの結婚」と発表したそうである。

 AIとは全く縁のないギィ・リブという男性は、1984年から2005年にフランス警察に逮捕されるまでの20年以上もの間、ピカソ、シャガール、ダリ、マティスなどの巨匠の新作を制作し続けていたのである。そう、世界一有名な贋作作家として美術専門家や鑑定家の目を見事に欺き続けたのである。

 そして今やギィ・リブは世界的な贋作作家として展覧会もするほどの巨匠なのだ。

 レンブラントを完成させたこのAI技術は今後、贋作か真作かを見極めるためのとても優秀なツールになるであろう。しかしながらピカソ、シャガール、ダリ、マティスなどの現存する膨大な作品をデータ化し、アルゴリズムを構築するコストと時間を考えるととても現実的であるとは思えない。

 つまりAIは過去の膨大なデータをもとにアルゴリズムを構築し過去の偉大な画家達になることはできるが、ピカソやダリのように世の中の今までの価値観を揺るがし新たな表現を創造する、アート本来の持つ使命を達成することは到底無理であろうということだ。

17世紀のバロック期を代表する画家レンブラント
17世紀バロック期を代表する画家レンブラント

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