企業がソフトウェア重視の姿勢を強めるとともに、データセンターへの負荷は高まっていく。本記事では、この変化を支えていくうえで重要となる3つのテクノロジを解説する。
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筆者は最近、 Amazon Web Services(AWS)の「AWS re:Invent 2016」や Hewlett Packard Enterprise(HPE)の「HPE Discover London 2016」といったイベントから、2017年におけるエンタープライズデータセンターがどのようなものになるのかを考えさせられた。モノリシックなレガシーアプリケーションが大量にあることを考えた場合、基盤となるインフラはこれから何年にもわたって生きながらえるはずだ。
それと同時に、新規アプリケーションと新たなビジネスプロセスは、クラウドサービスに大きく依存するようになる。これら2つの環境は、ほとんどの企業のデータセンター内で共存していくはずだ。そこで、このようなハイブリッドインフラという戦略を成功させるうえで、2017年に力を入れるべき3つのテクノロジを以下に挙げる。
ハイブリッドネットワーク
ネットワークは、ハイブリッドインフラを実現する基本的なものだ。クラウドサービスやIoTが爆発的な普及を遂げた結果、企業のネットワークに新たな頭痛の種が生じている。また、ネットワークアーキテクトはネットワークエッジの絶え間ない変化に直面している。従来型の企業ネットワーク環境では、ネットワークエッジの規則は厳格に規定できた。ユーザーとデータはオンプレミスに存在しており、物理ネットワークのエッジは論理的な境界と一致していた。
これらが一致している場合、企業におけるワークロードの管理やセキュリティはシンプルなものになる。しかし、ハイブリッドインフラの登場によって、従来型の物理境界は破壊される。クラウドベースのワークロードは、クラウドプロバイダーのインフラに応じて、どのような物理ロケーションにも存在し得る。また、クラウドプロバイダーのネットワークによって、マルチキャストといった考え方が消失する。ネットワークエンジニアはクラウドベースのワークロードやプロセスをセキュアにする手段や、サポートする方法を心得ておく必要がある。また、じっくり時間をかけ、クラウドプロバイダーとの物理的な接続形態を把握しておくことも重要となるだろう。
オーケストレーション
データセンターのオーケストレーションは、しばしばデータセンターの自動化と混同される。自動化はオーケストレーションをサポートするが、自動化とオーケストレーションでは技術的な目標が異なるのだ。ハイブリッドインフラでは、ワークロードの配置にオーケストレーションが欠かせない。コンテナの重要性が高まるにつれ、物理的な環境とクラウド環境の間でワークロードの配置を最適化する能力の重要性も高まってくる。「Kubernetes」や「Docker Swarm」「Apache Mesos」といったプロジェクトは、ワークロードのオーケストレーションを行ううえで重要な要素技術となっている。