BtoB事例としては日立製作所を紹介した。医療機器販売後、IoTによって予兆保全を行い、さらにフィールドサービスエンジニア向けの「Field Service Einstein」によって、効率的なフィールドエンジニア管理を行っていくソリューションが登場した。
日立製作所の執行役専務 サービス&プラットフォーム ビジネスユニットCEOの小島啓二氏は、「IoTやAIを使い組織を大きく変えたい!デジタルトランスフォーメーションジャーニーを実践したいというお客様も増えてきている。私たちはその旅のパートナーとなることができるよう、IoTのプラットフォームとなるLumadaを開発した」と説明。日立自身も新しいビジネスモデルへと変革していくことに積極的に取り組んでいることをアピールした。
午後のAI Keynoteでは、Einsteinのより詳細な部分を紹介した。
日本でのEinsteinのパイロットプログラムに参加している江崎グリコの情報システムを担当する江栄情報システム 代表取締役専務である宮領康博氏が登場。江崎グリコではSalesforceを営業開拓、コールセンター、ソーシャル、マーケティングに活用している。
パイロットプログラムでは、Service Cloud Einsteinを活用し、お客様センターで、より多くのグリコファンを増やしていくための活用を目指している。
宮領氏はパイロットプログラムを進めていく上で、(1)日本語解析技術の精度向上、(2)ケース分類と回答レコメンド、(3)お問い合わせ傾向の分類という3点をポイントとして取り組んでいると説明。「日本語をどのようにとらえて、さらにどう分類していくのかを一緒になって取り組みたい」と日本語でのEinstein活用に真摯に取り込んでいることを紹介した。
また、現在米国の研究部門で今後実装される機能の開発に取り組んでいる、米国Salesforce.com Chief Scientistのリチャード・ソーチャー氏が現在、自然言語処理、画像解析、構造データと非構造データの解析などに取り組んでいることを紹介した。

米国Salesforce.com Chief Scientist リチャード・ソーチャー氏
AIを使った画像解析では、コマースサイトが帽子を勧める場合、ユーザーの髪型、髪の色に合わせた帽子や、帽子ではなくバンダナを勧めるといったユーザーに最適化された広告を出すことが可能になる。今後はこの解析をさらに向上させて、例えば、医療現場など解析結果が出るまでの時間がきわめて短時間であることが求められる場面での利用も可能となるという。
「夜間のERのようなCTスキャン画像を読み込む専門家がいない場合、脳のCTスキャン画像から脳内出血の有無を判断し、異常があると判断された場合には診断の順番の優先度を最優先とするといったことがライブで行えるようなものを提供していく」(ソーチャー氏)
自然言語処理は、英語だけでなく、日本語、中国語などマルチリンガルでの提供を、「2017年にEinsteinへの組み込みを予定している」という。映画評の文章について、ポジティブな単語が使われているものの全体としてはネガティブな評価となっていることを判別するなど、日本語のセンチメントを収集して文章全体の意味を判断する機能を持ったものになることが説明された。
また、ビジュアルとテキストを融合した解析とその回答を提供するテクノロジーの開発も進められている。「頭に何か被っている人の画像から、被っているものが何かを問いかけると、何のために被っているのかを答える。例えば、被っているものはヘルメット。何故、ヘルメットを被っているのか問いかけると、安全のためですと回答する」など、新しい方向性も紹介した。