松岡功の一言もの申す

セールスフォースがEコマース運営に乗り出す日

松岡功 2016年12月15日 12時00分

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 米Salesforce.comがEコマース(電子商取引)事業に乗り出した。企業がEコマースを展開する際のプラットフォームをクラウドサービスで提供するものだが、同社自身がEコマースの運営に乗り出すことはあり得るのか。

SalesforceがEコマース向けプラットフォームを展開

 Salesforce.comの日本法人セールスフォース・ドットコムが12月12日、9月にグローバルでサービス提供を始めたEコマース向けプラットフォーム「Salesforce Commerce Cloud」について、同事業の最高経営責任者(CEO)であるJeff Barnett(ジェフ・バーネット)氏が来日したのを機に都内で記者会見を開いた。

 Commerce Cloudは、Salesforceが7月に買収した米Demandwareのサービスを基盤としており、企業がEコマースを展開する際のサイト作りやビジネスの進め方を支援するプラットフォームである。

 Barnett氏によると、「ウェブやモバイル、ソーシャル、店舗など、さまざまなチャネルで買い物をする一人ひとりの顧客に最適化されたショッピング体験を、個々の企業や製品ブランドに基づいて提供することができる」という。

(出典:セールスフォース・ドットコムの資料)
(図1)Salesforce Commerce Cloudの概要(出典:セールスフォース・ドットコムの資料)

 さらに、SalesforceのCRMプラットフォーム上のサービスになったことで、Salesforceが展開しているセールスやマーケティングをはじめとした各種サービスともシームレスな連携を可能としている。

 Barnett氏によると、Commerce Cloudの前身であるDemandwareのサービスは12年前から展開しており、すでに50カ国で1800を超えるEコマースサイトに利用されているという。それらのサイトを通じたEコマースの総売上高は年間で160億ドル規模に達しており、「売り上げ規模でいえばAmazonやアリババに匹敵する」(Barnett氏)としている。

パートナーエコシステムを通じてきめ細かいサービスを提供

 図2に記されているのが、Commerce Cloudのユーザーとして名を連ねる主要な顧客企業のブランドである。日本では1年半ほど前からサービスを始め、ファーストリテイリングの「UNIQLO」など現在およそ40サイトに採用されている。Barnett氏は「Eコマースの売り上げ規模でいうと、日本は米国に続く市場なので、Commerce Cloudの潜在需要はまだまだ大きなものがある」と見込んでいる。

(出典:セールスフォース・ドットコムの資料)
(図2)Salesforce Commerce Cloudの主要な顧客企業のブランド
(出典:セールスフォース・ドットコムの資料)

 Barnett氏の説明を聞いていて、筆者の頭に浮かんだのは、Commerce Cloudを使えばSalesforce自身がEコマースサイトを運営できることから、例えば資金面などから単独でプラットフォームを採用するには荷が重い中小企業に向けて、SalesforceがEコマースの場(サイト)を貸して運営を代行するサービスも提供できるのではないかということだ。

 そうなると、SalesforceがEコマースの事業そのものに進出することになり、顧客企業と競合するケースも出てくるが、あくまでプラットフォームの採用を前提とした中小企業の支援策と考えれば、サービスとして成り立つのではないか。

 そこで、会見の質疑応答でそうした可能性について聞いてみたところ、Barnett氏は次のように答えた。

 「Commerce CloudはEコマースのプラットフォームを提供するサービスなので、Salesforce自身がEコマースを手掛けることは今のところ考えていないが、中小企業への支援という観点から言えば、パートナーエコシステムから有効な製品やサービスが提供されるだろう。私たちはパートナー企業とともに、中小企業へもきめ細かいサービスを提供していく」

 つまり、Salesforce支援のもとパートナーが中小規模の顧客企業に向けて、Eコマースの運営代行サービスを行う可能性はあるということだ。それが広がれば、中小企業を支援するという大義名分のもと、Salesforceが直接手掛けることもあり得るかも……。Commerce Cloudはそんな想像もさせてくれる興味深いサービスである。

会見
会見に臨む米Salesforce.comのJeff Barnett Commerce Cloud CEO(左)とセールスフォース・ドットコムの御代茂樹マーケティング本部プロダクトマーケティング シニアディレクター

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