Dockerは米国時間12月14日、「containerd」をオープンソース化したと発表した。containerdは、オーケストレーション機能を備えたコンテナのコアランタイムである「Docker Engine」を構成する重要なコンポーネントだ。
containerdプロジェクトに対しては、Alibaba CloudやAmazon Web Services(AWS)、Google、IBM、Microsoftといった、世界をリードするクラウドプロバイダーがメンテナーとコントリビューターを参加させると表明している。
containerdはDocker Engineにとって欠かせないコンポーネントであり、Dockerのバージョン1.11から使用されてきている。新たなオープンソース版のcontainerdは、Docker以外の製品やコンテナソリューションを構築するための、拡張可能で安定したオープンな基盤として用いられることを想定している。
具体的に述べると、containerdはLinuxと「Windows」双方のプラットフォームをまたがるコンテナイメージの転送や、コンテナの実行と統括、低水準ローカルストレージ、ネットワークインターフェースといった目的で利用できる。こういった目的は既に他で耳にしたことがあるはずだ。The Linux Foundationの「Open Container Initiative」(OCI)は、ベンダーニュートラルなかたちでのコンテナのランタイム仕様(Runtime Specification)とイメージ仕様(Image Specification)の策定を目的とするイニシアティブだ。
Dockerは今回のプロジェクトをOCIの下で立ち上げたわけではないものの、同社はcontainerdがOCIのランタイム仕様とイメージフォーマットの仕様、OCI参照実装(runC)をフルに活用するものだと述べている。また、Dockerは最終的にOCI認証を取得する計画だ。
Dockerの創設者兼最高技術責任者(CTO)のSolomon Hykes氏は同社サイトに、「これは何カ月にもわたる緊密なコラボレーションと、Dockerコミュニティーの思想的リーダーによる貢献の成果だ」と記している。
Dockerはこれまで、最初に社内で開発を行った後、成果物をオープンソース化してきている。
containerdの機能的なスコープは限定されたものとなる予定だ。その目標は、あらゆるコンテナシステム間で共有されるコンポーネントをつなぐ「単調な」インフラの構築であり、これによって先進的なオーケストレーションの実現に寄与するというものだ。このプロジェクトは、新機能よりも品質を重視するという、コミュニティー定義型のリリースプロセスに従うとともに、Dockerが特定の企業から必要以上の利益を受けないように別のブランドにされるという。
とは言うものの、containerdに関するHykes氏の計画は、単調なインフラ以上のものに感じられる。同氏は「われわれは『containerd 1.0』でLinuxホスト上とWindowsホスト上の双方で同等のコンテナ管理を実現するうえで必要となるコアプリミティブをすべて提供できるよう、Docker Engineの持つ多くの機能をcontainerdに追加していく」と述べている。以下がそういった機能だ。
- コンテナの実行と統括
- イメージの配布
- ネットワークインターフェースの管理
- ローカルストレージ
- ネイティブな基本レベル(native plumbing level)のAPI
- 拡張されたOCIイメージ仕様を含む、OCIへの完全準拠
箇条書きの1つ目はDockerの今回の動きを説明する理由になっている。「Kubernetes」はコンテナ管理プログラムとしてあっという間に普及した。DockerはDocker Engineの管理アプローチに対する支持者を増やす必要がある。
Dockerのcontainerdにかける夢に賛同するアナリストが少なくとも1人いる。RedMonkの業界アナリストであるFintan Ryan氏は声明で以下のように述べている。
Dockerがcontainerdをコンテナエコシステムに寄贈したことで、さまざまなコミュニティーは標準化されたコアコンポーネントを用いた開発が可能になった。こういったコアコンポーネントによって、あらゆるインフラ上で安定性と互換性が保証されるため、開発者らは自信を持って開発を続けられるようになる。
containerdの団体はまだ設立されていない。設立は2017年第1四半期以降になる。しかし、containerdのリポジトリは14日付けで公開されている。また、ロードマップや、そのスコープ、アーキテクチャ計画、APIのドラフトも同日に公開されている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。