対策に乗り出すも増大する医療費も問題に
政府としても、このような状態を見過ごせるわけもなく、経済産業省が中心となり、労働環境改善のための施策推進として、従業員の健康管理を経営的な視点で捉え、戦略的に取り組む企業を、「健康経営銘柄」として認定するなどの対応策を講じている。また、厚生労働省も、健康維持・増進の観点から、健康増進法の改定、特定健康診査(通称:メタボ健診)の導入、データヘルス計画の導入、ストレスチェック義務化などの対応を図っている。
これらの施策により、健康に関するデータを保持している保険者や地域が主体的に保健事業や健康維持・増進を行うための仕組み作りや制度が整備されてきた。
その一方で、高齢化の加速やそれに伴う国民医療費の増加も深刻化している。平成26年度の国民医療費は40兆8,017億円(前年比1.9%)に達し、保険者や地域の努力では医療費抑制が難しい。
その要因として、保険者や地域ではガバナンスが効かない点と従業員や住民の健康向上に対するモチベーション向上の施策がない点が指摘されている。
健康経営に関する国内の動き
健康経営という新しい潮流~政府が設立した認定制度が今後重要に~
従業員の働き方・健康管理について世間の注目度が高まる中、従来の保険者や地域中心の健康維持・増進では、増え続ける医療費を抑えることができないことは明らかである。
そこで、従業員や地域よりガバナンスが利きやすい企業を含めた「健康経営」の取り組みが1つの解決策となる。「健康経営」とは、従業員の健康を重要な経営指標と捉え、健康増進に積極的に取り組む企業経営の新しいスタイルである。
さらに、「健康経営」を促進する仕組みとして、経済産業省・厚生労働省が中心となり、前述した「健康経営銘柄」を含む「健康経営優良法人認定制度」「ホワイト500」などの認定制度が開始された。
この認定制度は話題性もあり、多くの企業が注目しているため、健康経営に取り組むよいきっかけとなると考えられる。
健康経営に取り組む法人を顕彰する制度