ITは「ひみつ道具」の夢を見る

知的存在としてのIT(後編)--テクノロジは人格をもつか - (page 2)

稲田豊史

2016-12-25 07:00

 昨今では、チャットで簡単な会話をしながら利用者のニーズを満たす「チャットボット」の技術に注目が集まっている。これは、メッセンジャー形式でやり取りしながら、航空券やホテルや病院の予約、ショッピングなどが、決済までスムーズに行えるもの。

 もちろん、ここに応答に人間の手は介在していない。AIが質問・問い合わせ内容を判断して、自動応答しているのだ。チャットボットにはGoogleやFacebookをはじめ、韓国のNaver、Daum などのIT大手が投資に躍起になっている。

 チャットボットのなかには、スケジューラアプリに組み込まれていて、秘書さながらにメールなどでスケジュールを通知してくれるものもある。単なる「通知アイコン」ではなく、人格を感じさせる「メール」である点がポイントだ。

 JALは乳幼児連れの旅行者向けに、チャット形式で自動回答する「マカナちゃん」というサービスをPCとスマホでスタートした。利用者は、乳幼児向けの空港サービスや現地での離乳食調達方法などをテキスト入力で質問すると、人間の手を介さずに回答を得られる。

 「マカナちゃん」の開発は日本IBM。機械学習システムである「IBM Watson」の持つ自然言語の分類や対話技術を使い、システムが構築されている。

 「マカナちゃん」の対話範囲はまだ「赤ちゃん連れのハワイ旅行」という限定された用途・分野だが、いずれ広がるのは時間の問題だろう。秘書機能的な用途からスタートしているチャットポッドは、対話型OSである「サマンサ」の、原型の原型といったところか。

 人格を帯びた知的存在をテクノロジによって創造したい……という人間の欲求は、とどまるところを知らない。それは技術を追求する者の本能のようなものだ。

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