FinTechの話題では、必ずブロックチェーンの話が持ち上がりますが、ブロックチェーンをFinTechの新しいテーマとしてとらえる時代は過ぎたのではないかと考えています。ブロックチェーンは例えれば「クラウド」のようなレイヤの基礎技術の1つであり、それによって金融が良くなるという話ではありません。
一方、フィンテックはアプリケーションレイヤの話がほとんどで、金融機関だけが取り組むのでは難しい部分を、ベンチャーが参入することで、盛り上げてきた状況です。基礎技術の話とアプリケーションレイヤの話を一緒にするのは良くないのではないかと考えています。
ブロックチェーン自体は技術としての実証フェーズを迎えていて、いろいろな実験が行われています。FinTechに入っていたことの使命を果たしたので、今後はブロックチェーンもFinTechと同じくらい、1つの大きなテーマとして見たほうが良いのではないでしょうか。
ここで、今年の2月に2016年の予測として出した7つの項目 を振り返って答え合わせをしてみましょう。私は2016年以降の政策的なトピックとして、以下が議論されていくと予想しました。
- 銀行によるFinTech企業への出資
- 携帯電話番号を利用した送金サービス
- ブロックチェーン技術に関する検討
- 銀行システムのオープンAPIの検討作業部会
- 銀行と利用者の間の「中間的業者」への制度整備
- キャッシュアウトサービス
- ビットコインにおけるマネーロンダリング規制・利用者保護
まず、(1)の「銀行によるFinTech企業への出資」は政策として通りました。(3)「ブロックチェーン技術に関する検討」と(4)「銀行システムのオープンAPIの検討作業部会」については、全銀協の研究会が立ち上がったことが該当します。(5)は前半でお話したとおり、ワーキンググループが動いています。(6)と(7)も法律に盛り込まれました。
(7)については、日本で取引所を開きたい場合には、規制が発生するようになり、マウントゴックスのようなことが起きないように担保しています。基本的にはほぼ制度に取り込まれており、(3)、(4)、(5)については議論が続いている状態になったと言えるでしょう。
次回は、2017年以降の予測をお届けします。
この記事はマネーフォワードの 瀧 俊雄氏が語った内容をZDNet Japan編集部が再構成している