調査

日本の生産性、米国比で情報通信業は4分の3、サービス産業では半分

NO BUDGET

2016-12-23 10:58

 公益財団法人日本生産性本部は12月12日、「日米産業別労働生産性水準比較」を発表した。それによると、産業別にみた日本の労働生産性水準(2010~2012年平均)は、製造業全体で米国の7割、サービス産業全体で5割であったという。報告書の本文は、日本生産性本部・生産性研究センターのサイトよりダウンロードできる。

 産業別にみた労働生産性水準対米比は、経済産業省「通商白書2013年版」に産業別日米生産性水準比較(2003~2007年平均)として掲載されているが、最新のデータに更新されていないのが現状だ。今回の日米比較は、日本生産性本部が、東洋大学の滝澤美帆准教授を座長とする「日米産業別労働生産性水準比較研究ワーキンググループ」を立ち上げ、類似データを利用しながら同様の手法で最新年次による比較を行ったもの。具体的には、「通商白書2013年版」(経済産業省)に掲載された産業別日米生産性水準比較(2003~2007年平均)の計算手法をもとに、ハーバード大学ジョルゲンソン教授などを中心に構築されている「WORLD-KLEMS」データベースなどを利用して、日本及び米国の産業別労働生産性水準(購買力平価ベース・就業1時間当たり付加価値)を計測し、対米比率の算出・比較を行った。

 主な結果は以下の通り。

  • 産業別日米労働生産性格差の現状
  •  産業別にみた日本の労働生産性(就業1時間当たり付加価値額/2010~2012年平均)は、製造業全体で米国の7割(69.7%)、サービス産業全体で5割(49.9%)。製造業の中では、化学(143.2%)や機械(109.6%)で米国を上回り、輸送機械(92.7%)でも遜色ない水準であった一方、情報通信業は4分の3(74%)、サービス産業では運輸(44.3%)や卸売・小売業(38.4%)、飲食宿泊(34.0%)などの主要分野で格差が依然としてある。


    日米の産業別生産性(1時間あたり付加価値)と付加価値シェア
  • 日米労働生産性格差の変化
  •  この日米生産性格差を90年代後半(1998~2000年平均)と比較すると、製造業全体では3.2%ポイント縮小と縮小傾向にあるものの、サービス産業全体では0.9%ポイント格差が拡大と米国の5割程度の状況が続いている。分野別にみると、製造業では特に化学(+36.7%p)や建設業(+18.2%p)、食品製造業(+10.1%p)などで大幅に改善している。サービス産業では、サービス産業の分野別にみると、飲食・宿泊(+2.5%p)で若干差が縮小したものの、卸売・小売(-6.3%p)や運輸業(-3.6%p)などで格差が拡大している。

     リーマン・ショック前(2005~2007年平均)と比較しても、日米格差は製造業(+6.0%p)で縮小する一方、サービス産業(-1.8%p)ではやや拡大している。飲食・宿泊(+3.2%p)で改善したものの、運輸(-0.2%p)や卸売・小売(-3.3%p)、物品賃貸・事業サービス(-4.5%p)などで日米格差が拡大したことが影響した。


90年代後半(左)およびリーマンショック前(右)における、日米の労働生産性格差の変化

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