矢野経済研究所は12月6日、国内のコールセンター(テレマーケティング)市場、コンタクトセンター/CRMソリューション市場の調査結果を公表した。調査は、7~11月にかけて、テレマーケティング会社、コンタクトセンター、CRMベンダなどを対象に、直接面談や電話・メールによるヒアリングを実施、文献調査を併用した。
主な調査結果は以下の通り。
- コールセンター(テレマーケティング)市場
- コンタクトセンター/CRMソリューション市場
2014~2015年度のコールセンター(テレマーケティング)の市場規模は、国内の景気回復が後押しし、僅かながら改善の兆しが見られた。2015年度市場規模は、2016年度に予定された電力自由化、マイナンバー関連案件の需要が発生したほか、通販業務全般における案件増加などが好影響を与え、前年度比2.4%増となった。
2016年度は、2015年度に引き続き電力自由化、マイナンバー関連案件が拡大している。マイナンバー関連案件については2017年度以降の需要は縮小してゆくと予測するが、電力自由化については伸び率こそ鈍化するものの、今後も拡大を見込めるため、前年度比1.6%増と予測。2017年度以降は、近年の訪日外国人客増加と2020年東京オリンピック・パラリンピックを見据え、多言語化対応サービスを導入するユーザー企業が増加傾向にある一方で、国内景気の回復が落ち着きを見せているため、市場全体の成長率としては1%台の伸びに留まると予測、2013年度から2018年度の年平均成長率(CAGR)1.9%で推移し、2018年度市場規模は8831億円と見込んだ。
市場の動向としては、昨今では消費者からの電話での問合せが減少傾向にある一方で、ウェブ経由でのノンボイス(テキストベース)の問合せが増加傾向にある。そのため、今後ウェブ、SNS、チャットの活用といったノンボイスでの問合せ対応に積極的な姿勢を持つユーザー企業はさらに増加していくと見込んでいる。また、第3次AIブームを背景に、AI活用に関心を持つユーザー企業が増加しているため、今後はAIを活用しVOC(顧客の声)を中心としたビッグデータの収集・分析に取り組む企業が増加していくものと考えられる。
コールセンター(テレマーケティング)市場規模推移と予測
2014~2016年度のコンタクトセンター/CRMソリューション市場は、クラウド型のサービスの普及が加速し、市場の裾野が拡大していることを背景に、堅調に推移している。
クラウド型のサービスは、これまで専業ベンダーが比較的小規模なコンタクトセンター向けに提供していたが、近年は従来に比べセキュリティ面での懸念が払しょくされてきている。大規模なコンタクトセンターでもクラウド型のサービスを利用する事例が出始めたことから導入に前向きな企業が増え、従来はコンタクトセンターを持たなかった中小企業や自治体にまで普及してきている。2017年度以降については、大規模コンタクトセンター事業者がインフラ重視からアプリケーション重視へ移行していくと予測。2013年度~2018年度の市場規模は年平均成長率(CAGR)2.7%で推移し、2018年度には4945億円に達すると見込んだ。
市場の動向としては、スマートフォンなどのモバイル端末が急速に普及したことにより、コンタクトセンターへのアクセスも外出先からやウェブ経由でのノンボイスの問合せが増加している。これに伴い、モバイル端末、音声認識、会話分析、FAQ検索ツール、などに関連したアプリケーションが拡大していくと見込む。またノンボイス領域の重要性が増していくため、音声のテキスト化やデータ収集、またデータ分析ニーズが高まるものと考えられる。
コンタクトセンター/CRM ソリューション市場規模推移と予測