調査

デジタル導入が成果を左右--ガートナーの「日本のCRMハイプ・サイクル」

NO BUDGET

2016-12-30 07:00

 ガートナー ジャパンは12月19日、日本のCRMに関する調査結果を発表した。日本国内における重要トレンドと今後の見通しを示したもの。今回、「パーソナライゼーション・エンジン」「カスタマー・ジャーニー・アナリティクス」「顧客エンゲージメント・ハブ」がキーワードとして挙げられている。


日本におけるCRMのハイプ・サイクル:2016年

 注目テクノロジーとアプリケーションそれぞれの概要は以下の通り。

  • パーソナライゼーション・エンジン
  •  パーソナライゼーション・エンジンとは、既知の情報に基づいて個人にとって最適な顧客体験を特定するテクノロジ。例えばオンラインでのプレゼンテーションレイヤの変更、自動応答の起動、営業担当者やサービス担当者が行動を起こせるよう、分析結果を引き渡したりするといった役割を果たす。

     初期段階においてはデジタル・コマースの用途に特化していたが、今や初歩的な顧客セグメンテーションの域を超え、個々の顧客の好みを特定し対応できるようになったため、コマース外のコンテンツや機能をも対象とするようになっている。インターネットの登場以来、顧客獲得や受注をめぐる争いは熾烈化し、エクスペリエンスの優劣が差別化要素となっている。これと同時に、顧客側もまた自身に最適な体験が提供されることを期待するようになり、パーソナライゼーションはもはや必須要件となっている。

  • カスタマージャーニーアナリティクス
  •  カスタマージャーニーアナリティクスとは、企業との相互作用において見込み顧客を含む顧客が、使用可能なチャネル/デバイスをどのように利用しているか、その組み合わせを経時的に追跡し、統合し、分析するプロセスのこと。コンタクトセンターのような人的な相互作用、ウェブサイトやモバイル端末のように十分に自動化されているもの、ライブチャットや共同ブラウジングのように顧客へのサポートを提供するもの、独立した小売店舗のように物理的な拠点で運営されているもの、ディスプレイ広告のような限定的な双方向インタラクションなど、すべての利用可能なチャネルおよびデバイスが対象となる。

     カスタマー・ジャーニー・アナリティクスの認知度はいっそう高まっており、複数の業界(特にB2C企業)において複数の部門(IT、顧客分析、マーケティング、営業など)の担当者が、戦略やテクノロジについてますます注目するようになっている。テクノロジ自体は、認証された顧客(つまり、さまざまなチャネル/デバイスからログインした同一顧客)を連結し、分析し、彼らに働き掛ける手段としてますます進展している一方、未知の顧客や見込み顧客、さらには同一顧客と分かりつつも複数のデバイスを利用している顧客とのインタラクションを推測するという点においては、いまだ成熟していない。

  • 顧客エンゲージメント・ハブ
  •  顧客エンゲージメント・ハブ(CEH)とは、複数の顧客接点におけるシステムを結び付けることで顧客エンゲージメントを最適化するテクノロジおよびプロセスのコンセプト。これは先取的および事後対応的なコミュニケーションを含み、すべての顧客接点にわたり、文脈に即してパーソナライズされた顧客エンゲージメントの実現を目指すものとなる。

     そのため、マーケティング、営業、顧客サービスのプロセスを同期させるなど、社内のすべての関連部門を対象とし、互いの連携を支援することにもつながる。売り上げ増加の手段として、また消費者の購買および関連する活動に影響を及ぼす手段として、顧客維持に努めるさまざまな業種の企業が、サイロ化された顧客エンゲージメントや顧客ケアにどのように取り組むべきかという問題に対処する上でCEHが必要になると考えられる。ただし、現段階のCEHは黎明期に位置付けられ、これを形成し得るコンポーネントのほとんどが現状では一つのサービスが担う状態ではない。これが本格的な登場を経て主流の採用に至るまでには、10年以上を要すると考えられる。

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