本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、シマンテックの日隈寛和 代表取締役社長と、トレンドマイクロの大三川彰彦 取締役副社長の発言を紹介する。
「2016年は全速力で走り続けた」 (シマンテック 日隈寛和 代表取締役社長)
シマンテックの日隈寛和 代表取締役社長
シマンテックが先ごろ、2016年の取り組みの総括と2017年のセキュリティ動向予測について記者説明会を開いた。日隈氏の冒頭の発言はその会見で、2016年の自身としての実感を語ったものである。
日隈氏は2016年のシマンテックの動きを振り返って、1月にVeritas事業の分離、4月に米SymantecのMike Brown CEOの退任、8月にBlue Coat社の買収、同社のCEOを務めていたGreg Clark氏がSymantecの新CEOに就任、11月に主力のエンドポイントセキュリティソフト「Symantec Endpoint Protection 14」の発売と、大きな出来事が相次いだことを挙げた。
とりわけ、ネットワークセキュリティソフト大手のBlue Coatの買収は、Symantecにとってエポックメイキングな出来事だったとし、10月にBlue Coatの脅威情報を「Symantec Global Intelligence Network」に完全統合したことで、「民間企業として世界最大規模のサイバーセキュリティの脅威情報ネットワークを保持する形になった。これこそがわれわれの競争力の源泉となる」と強調した。
また、クラウド化が進みつつある状況に対し、「ユーザーはこれまでネットワークを介して社内のアプリケーションにアクセスしていたが、今ではクラウド化が進み、モバイルデバイスなどによって外部からも直接SaaSにアクセスできるようになってきた。こうした利用形態の変化においては、サイバー攻撃の被害に遭うリスクが高まることを認識しておく必要がある」と指摘した。
日隈氏が挙げた2016年におけるセキュリティ脅威のキーワード