2017年のセキュリティ動向予測については、IoT（Internet of Things）の観点から「IoTデバイスへの脅威が増加する」「コネクテッドカーも脅威の対象になる」「IoTを悪用したDDoS攻撃が増加する」、クラウド化の観点から「企業ネットワークが拡大して境界線が不明確になる」「ランサムウェアがクラウドを攻撃する」、サイバー犯罪の観点から「無法国家が自らの手で犯罪行為に乗り出す」「ファイルが存在しないマルウェアが増える」「SSLを悪用したフィッシングサイトが増加する」「ドローンがスパイ活動や過激な攻撃に悪用される」といった点を挙げた。
そのうえで、「新しい年を迎えるにあたって、当社をはじめとしてセキュリティの専門家が注意喚起している点について、時間をとって確かめていただきたい」と語った。
実は、日隈氏自身も2016年1月にシマンテックの社長に就任して丸1年がたとうとしているところ。同社にとって大きな出来事が相次いだこともあり、冒頭の発言は紛れもない本音といえそうだ。
「IoTを狙ったセキュリティ脅威が広がっている」 （トレンドマイクロ 大三川彰彦 取締役副社長）
トレンドマイクロの大三川彰彦 取締役副社長
トレンドマイクロが先ごろ、家庭内の複数のスマート家電をまとめて守るホームネットワークセキュリティ製品を発表した。大三川氏の冒頭の発言は、IoTにおけるセキュリティの現状について語ったものである。
新製品の名称は「ウイルスバスターfor Home Network」。ホームネットワーク上の通信を監視し、スマート家電やタブレットなど複数の情報端末を一括して保護するセキュリティ製品である。ネットワーク構成やデバイスの設定を変更することなく、ルータに接続するだけで利用できるという。
スマート家電に搭載されているOSやソフトウェアの脆弱性を悪用する攻撃をブロックする機能や、パスワードの強度を診断する機能、新たにネットワークに接続される機器を検知する機能などを備え、スマート家電への不正プログラムの感染、不正な遠隔操作などの脅威を防ぐとしている。
大三川氏は新製品の説明に先立ち、セキュリティ対応のニーズが高いIoT市場について「自動車」「産業用途」「コンシューマー」の3分野を挙げ、「とりわけコンシューマー分野で使用されるデバイスの数は、他分野と比べても群を抜いて多くなっていく」と説明。同社ではすでに、自動車と産業用途向けにはソリューションを打ち出しているが、コンシューマー向けとしてホームネットワークセキュリティを提供していくことも明らかにした。その具体的なソリューションとして発表したのが、今回の新製品である。
同氏はさらに、IoTを狙ったセキュリティ脅威として、「家庭用ルータを改ざんする攻撃」や「IoT機器が攻撃の踏み台になる」「ランサムウェアがスマートテレビにも感染」「ウェブカメラやデジタルビデオレコーダを標的にしたサイバー攻撃」といった動きが実際に起きていると語り、多様な形で広がる脅威に対応していく必要性を指摘した。
大三川氏が挙げた多様化するIoTを狙ったセキュリティ脅威
IoTを狙ったセキュリティ脅威については今後も私たちの想像を超える手口が出現する可能性がある。IoTの進展はセキュリティ脅威の増加と隣り合わせであることをしっかりと認識しておかなければならない。大三川氏の話を聞いて、改めてそう強く感じた。
