大手ソフトウェアベンダーやクラウドプロバイダーからの発表や求人情報は、世界がどこへ向かっているかを知るための指標になる。MicrosoftなどがデータセンターOSに投資し、開発者を仮想化インフラから、オーケストレーションされたコンテナ群やサーバレスコンピューティングに誘導するための道具として使っているのは不思議ではない。
これは、非常に理に適ったアプローチだ。このことは、クラウドのデータセンターが数年前には想像できなかった稼働率で運用されており、電力の無駄も可能な限り小さくなっていることを意味している。必要なのは、今作られようとしている新しい世代のシステムに目を向けることだ。以前はマシン単位やラック単位で構築していたクラスタが、今ではデータセンターレベルで設計されるようになっている。
これらをすべて総合すると、今見えているのは、コンピュータを見えなくするコンピュータの世界だと言える。確かに、ポケットの中やデスクの上に持てるコンピューティング能力も非常に強力になっているが、これらは利用できる能力のごく一部にすぎない。今後は、巨大な5つのグローバルクラウド上で実行される短命なサーバレスコンピューティングインスタンスに仕事を引き渡すようになるだろう。これは必要なコンピューティング能力と必要なストレージを、必要な時だけ利用するという、古くからあるITの夢の実現だと言える。
これこそ、デジタル変革のアイデアがこれほど広まっている理由だ。現在は、これまでアプリケーションや企業の基盤として構築してきたインフラを再構築する過程にあり、今後は新たな能力を利用できるようにするために、コードの書き方を変える必要がある。企業がこれを活用するためには、テクノロジの使い方を再検討する必要があるし、ユーザーはこの変化から恩恵を得ることを期待するだろう。
Microsoftの最高経営責任者(CEO)Satya Nadella氏は、その役職に就任した際、このモデルの大半を包含した複雑なコンセプトを、「ユビキタスコンピューティングとアンビエントインテリジェンス」という短い言葉に集約して語った。
あらゆる場所、あらゆる物でコンピューティングが可能になった世界では、従来とはまったく異なる考え方が必要であり、これには、ハイパースケールクラウド上で構築されている機械学習テクノロジの支援を受け入れる必要がある。これはまた、それらの技術を企業でどう生かすかについても、新たな考え方が必要になることを意味している。
これは、デジタル変革の恩恵を受けるための、従来のアプリケーションアーキテクチャからの大きな一歩だ。ユーザーがすでにその世界に住み始めていることを考えれば、これは必要不可欠な一歩でもある。今こそわれわれは、ユーザーに期待される未来を実現する必要がある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。