--Einsteinや7月に買収した米Demandwareのサービスをベースに、Eコマース分野に進出するという話も。
セールスフォースは顧客管理を出発点としながら、マーケティングの「Marketing Cloud」やEコマースのDemandwareを買収するなど製品ラインを拡充させてきています。ただし、あくまでも顧客のニーズに沿うという考え方です。
今後特に重要になってくる考え方は「顧客にとっての顧客」が企業をリードする可能性があるということを理解し、それをどこまで経営に取り込んでいけるかだと思います。
例えば、自動車のディーラーの場合、以前なら新車を買うために1人の顧客がディーラーを訪れる回数が7.5回だったそうです。ところが、今はネット検索やSNSの評判などを通じて、さまざまな情報を顧客が自ら取得できるようになっており、たったの1.5回にまで減っていると言われています。
この時、ディーラー販売員のスキルセットは以前と同じでいいものでしょうか。1.5回とはつまり、買う時だけ来店するということです。それならば、例えば自動車購入の契約を締結する際のスキルを高める必要があるでしょう。新車購入時に、残価設定型プランがありますが、この設定を50%にするのか、70%にするのか、その際の利点と欠点について的確に答えられるなど、ファイナンスの知識を充実させる必要があると考えます。
コンビニエンスストアで言えば、特に地方の店舗の場合、都心と違って、コンビニが地元の顧客情報を集中的に持てる可能性があります。それを元に、子供ができたり、小学校に入学する予定があることが分かれば、コンビニと子供用品専門店が連携して、顧客に子供服やランドセルの購入を提案するといったこともできます。
テクノロジが業務の在り方や事業モデルを変えた後で、どういうスキルセットが必要になるのかをしっかりと考えなくてはいけない――そういう時代に近づいてきているのです。
IT部門についても同様のことが言えます。よく言われるのが、IT部門の業務に占める7割が運用、保守作業ということ。新しいビジネスの立ち上げなど、経営課題を理解した上での業務遂行が求められます。これはソリューションアプローチとよく言われることですが、実はこの段階もそろそろ卒業する時期だと考えます。