3.データを活用し、悪用は許さない
Foulsham氏によれば、データは現代の組織を流れる血液のようなものだ。情報を組織の隅々までうまく循環させるには、2つの要素が重要だと同氏は言う。第1に、CDOはビッグデータから得られる知見やチャンスを活用する必要がある。第2に、CDOはデータの保護に力を尽くさなくてはならない。
「組織がどんなデータを抱えているか、それをいかにして知的に利用するかを知る必要がある」と同氏は述べている。「同様に、どの種類のデータに強固な保護が必要かを把握しなくてはならない。CDOは組織の安全を守る必要がある。サイバーリスクは高まり続けており、脆弱性は決してなくならない」
Foulsham氏は、この総合的なアプローチは、必ずしも戦略的な矛盾を生むわけではないと述べている。「知見とセキュリティは表裏一体だ。この2つの要素は同時に管理されなくてはならない」と同氏は述べている。
4.サービス指向で行動する
企業や組織は2017年にも、クラウドを介してより多くのサービスを購入するだろう。Foulsham氏によれば、需要ベースで対応していくことは、CDOにとって、事業部門がそれらのサービスをどう購入し、財務部門が内部でそれらのクラウドサービスからいかに最大のメリットを引き出すかを検討しなくてはならないことを意味している。
「その費用のために資金をいかに出すかを考えなくてはならなくなる。サービスベースの契約を管理する作業は、従来の契約管理とは異なるものになる可能性があり、設備投資費よりも経常費が大きくなる傾向を生むかもしれない」(Foulsham氏)
同氏は、役員がクラウドから購入するサービスは、その組織が持つ事業の全体的な原動力と方向性が一致しているべきだと述べている。CDOは、組織がビジネスの広範なトレンドに応じてデジタルサービスを柔軟に変更できるようにしておく必要があり、そういった変更は年単位、季節ごと、月ごとに起こる可能性もある。
「サービスをデジタル的に調達するようになると、多くのことはやり方が変わってくる」と同氏は述べている。「サービス指向の企業では、組織を構成するすべての要素が、コストや技術的な統合という観点から、ときには運用モデルを変更する必要があると理解している状態にすることができる」
5.価値の提供に集中する
ベンダーや専門家は、すべてがデジタル化されると大きく話題にしている。しかしFoulsham氏は、デジタル化のためのデジタル化は避けるべきだと述べている。「その種のアプローチには意味がない。考えるべきは、価値と投資対効果を生み出すのにかかる時間だ」と同氏は言う。
「クラウドで見てきたように、異なる方法でデジタルにサービスを調達するようになる。またそのプロセスには、市場で有効性が実証されていない組織や製品の利用に関わるリスクや、事業上の需要が増大したときに、適切に規模を拡大できるかどうかなどのリスクがある」(Foulsham氏)
サービス指向の企業に変わるためには、マインドセットを変える必要がある。したがって、組織がデジタル変革を進めて行くにつれて、価値の定義は変化する。CDOが向き合っている課題について、Foulsham氏は「リスクも増えるが、チャンスも大きくなる」と語っている。
「どのような時間的スケールで、どのように価値を生み出していくかをよく把握すべきだ。早く失敗する心構えをしておくことだ。そして、自らの組織が必要としている価値が生み出せていなければ、そのアプローチを修正することだ」と同氏は述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。