10月23日から26日までラスベガスで開催された「Money 20/20」は、初開催から5年と歴史の浅いカンファレンスだが、ラスベガスで最も広い会場であるSans Expoに隣接するThe Venetianに、1万人以上を集める金融業界最大のイベントだ。
SIMの製造からアクセスカード、さらにバックエンドのサーバソフトウェアまで幅広く手掛けるフランスのOberthur Technologies(OT)のペイメントの責任者に、グローバルストラテジーとして開始したApple Payに関する戦略などについて聞いた。
今回、インタビューしたのはMobile Business UnitのManaging Director、Eric Duforest(ED)氏とHead of Mobile Financial Services、Mehdi Elhaoussine(ME)氏だ。
--ペイメント事業の責任者として、今のビジネスの概況を教えてください。
ED 私はOTのモバイルを使った金融サービスビジネスユニットの統括責任者です。OTは過去3年間に大きな成長を遂げています。実際に3年前に比べて2倍の売上を達成しました。今回、Suicaが使えるApple Payが開始されるということで、大変エキサイトしています。
Eric Duforest氏(左)とMehdi Elhaoussine氏(右)
(注:OTは日本でのApple Payの展開において、JCBのバックエンドでトークナイゼーションを担当するシステムを提供している。これはApple Payに取り込まれたクレジットカードの情報をそのまま使うのではなく、一度トークン化することで、iPhoneに格納されたトークンを使ってカード発行会社との間で認証などが行われる。これはiPhoneを紛失しても本体のクレジットカードは利用可能にするためだ。)
ME 実際に今手元にあるiPhoneで、どれだけの利用者が利用を開始しているのかをトークナイゼーションの数として監視しています。ものすごい数のiPhoneが、Apple Payを利用し始めていることが分かります。
ED Apple Payだけではなく、グローバル規模で新しいスマートカードが市場に拡大しています。現時点で世界中の17の銀行で、OTが提供するワンタイムパスワードカード「COSMO OTPカード」や「OT MOTION CODE」の試用が始まっています。
欧州では2つの大手銀行で利用が始まりました。中国でも同じように、大きな銀行においてパイロットプログラムが始まっています。このカードの優れているところは、まず利用者を対象にした教育が必要ないことです。
例えば、ECサイトで使う際にMOTION CODEのカードでセキュリティコードを入れる時も、これまでのように裏面を見て入れるのではなく、カードに表示されている3ケタの数字を入れるだけです。これまでと何も変わりません。さらにマーチャント側にとっても、セキュリティコードを使う点は何も変わりません。つまり、システムや利用方法を何も変えずに、導入することが容易であるという点です。
OTが提供する「COSMO OTPカード」と「MOTION CODEカード」