2016年10月23日から26日までラスベガスで開催されたMoney 20/20では金融、ITそれぞれの業界のベンダーが集まり、今後のペイメントをはじめとする次世代の金融サービスに関する多様なソリューションや方向性が提示した。その中でどのベンダーの説明にも必ず登場した単語が「セキュリティ」だ。
現金がクレジットカード、デビットカードからデジタルカレンシに移行する流れではお金はビットの形の数値でしかなく、銀行に横付けされた現金輸送車を襲うよりもはるかに効率的、かつ高速にお金を盗むことが可能になるだろうということは素人でも想像できる。
しかしさまざまなレイヤでソフトウェアとハードウェアにセキュリティ対策を施し、包括的に安全な情報のやり取り、つまりお金のやり取りを実現しようというのが全てのベンダーのDNAに刻まれていると言ってもいいだろう。
Money20/20の記事として、SIMの製造からアクセスカード、さらにバックエンドのサーバソフトウェアまで手がけるフランスのエンベデッドセキュリティベンダー、Oberthur Technologies(OT)の最高経営責任者(CEO)のインタビュー記事を公開したが、今回は日本法人の代表取締役である根津伸欣氏に話を聞いた。
--今回のイベントに参加し、改めて金融業界とIT業界が混ざり合っている様を確認したという思いがあります。
これまでカード業界のイベントは毎年フランスで開催されていたのですが、それが徐々に下火になって、いまやラスベガスのこのイベントに出展者も参加者も移ってきているという感じですね。色々なものが統合しているというのはその通りで、実際にわれわれのビジネスも4つの柱があるのですが、それが徐々に重なり合っていくという感じはします。
--4つの柱というのは?
オベルチュール・テクノロジーズ・ジャパン株式会社代表取締役 根津氏
OTの柱は、1つ目は金融向けのビジネス、これはクレジットカードやデビットカード、そして関連するサービスです。2つ目が通信キャリア向けのビジネス、これはSIMカードやコネクティビティに関するソフトウェアとサービス、3つ目がOEMメーカーのビジネス、これは車載用SIMなども含むIoT関連に使われるSIMやサーバーソリューションなどを提供します。最後が、オフィスや工場などへのアクセスカードやパスポートや免許証などのアイデンティティ関連の製品とサービスです。
この4つのコアとなるセキュリティをソフトウェアとして提供しているのがOTなのですが、コアになる要素技術は実は同じなんです。いま、全てのものがコネクテッドというかインターネットに接続する状況になってきていますので、その時にそのコアの技術を使ってソリューションを提供していくということになると思います。