海外コメンタリー

金融分野で存在感高まるビッグデータ--その理由やトレンドを考察 - (page 2)

George Anadiotis (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2017-01-11 07:30

 Clouderaは12月、金融セクターにおける自社の活動についてのプレスリリースを公開した。同社におけるビッグデータのエバンジェリストであり、金融サービス分野のリーダーを務めるSteve Totman氏によると「金融サービス機関は、カスタマージャーニーや断片化、セキュリティ、プライバシー、データ品質などの面でデジタル変革に積極的に取り組もうとするなか、数多くの課題を抱えている。彼らは、さまざまなチャネルを通じたサービス提供を求める新たな世代の顧客を魅了する必要もある」という。

 Clouderaのプレスリリースでは、金融機関にビジネス上の価値をもたらす主な分野として顧客に関する洞察のほか、不正利用の検知とサイバーセキュリティ、そしてリスクとコンプライアンスという3つが挙げられている。また、Hortonworksが挙げているユースケースには、マネーロンダリング対策のほか、360度の顧客ビューとカスタマージャーニーのマッピング、リスク管理、規制に対するコンプライアンス、ウェルスマネジメント、ビジネスアナリティクス、トレードの監視が含まれている。MapRも概ね同じ内容を挙げており、金融セクターの顧客やベンダーの間では、価値の所在に関して意見が一致しているようだ。

 ビッグデータが金融セクターの眺望を永遠に変えてしまったのは間違いない。この業界では、アルゴリズム取引がトロイの木馬の役割を果たしたことで、今やさまざまなユースケースでビッグデータが活用されるようになっている。ビッグデータが「戦略的」あるいは「状況を一変させる」ものと捉えている一般人の割合が3分の2になっているのであれば、金融セクターではおそらくほぼ全員がそう捉えていると言ってもよいだろう。

 ビッグデータのセールスポイントの1つは、「あらゆるものを保存し、使い道は後で考える」という哲学だ。ただ、すべてのデータがいつかは有用になるという前提は、常に正しいとは限らない。TABB Groupによると「一部のデータには『使用期限』というものがあり、その価値は時間とともに減少していく。その時間は、金融取引の世界では通常の場合、1秒未満となるため、バッチ処理による照会というアプローチだけに頼ることはできない。金融サービス部門の一部の人間が、レイテンシ(遅延)に敏感なフロントオフィス取引といった業務ではビッグデータを使えないと考えているのも無理のない話だ」という。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]