海外コメンタリー

金融分野で存在感高まるビッグデータ--その理由やトレンドを考察 - (page 3)

George Anadiotis (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2017-01-11 07:30

スピードに対するニーズ

 ここがTABB Group、そしてITRS Groupが主張している点だ。その主張とは、「規制と、市場の状況、技術革新の組み合わせによって、市場を破壊、変革するとともに機会をもたらす大嵐が生み出される。その結果、ビジネスモデルや、関係者の業務上の慣習に大きな変化が引き起こされる。企業はこういった難関を乗り越えるために、驚くほど多様かつ大量のデータに潜むパターンを洗い出し、価値が失われる前に『リアルタイムで』洞察を得なければならない。コンシューマー市場におけるリアルタイムは数秒から数時間だが、金融トレードの世界での1秒はあまりにも長すぎる」というものだ。

 リアルタイムでのビッグデータのストリーミングに向けた流れは、この業界における重要なトレンドの1つとなっている。このことは「Apache Spark」や「Spark SQL」の普及を示す成熟度調査の結果だけでなく、Clouderaの最高経営責任者(CEO)Tom Reilly氏やデータサイエンス担当責任者のSean Owen氏、Hortonworksの共同創業者Alan Gates氏、MapR関連書籍の著者でありビッグデータ関連のコンサルタントであるEllen Friedman氏といった業界の主要人物が述べる事例証拠にも表れている。最近のインタビューでこの問題に触れた際、彼らは皆、クライアントがますます、そして恒常的に、データにリアルタイムでアクセスできるパラダイムに向けてシフトしていっていると肌で感じていると語っている。

 ITRS Groupは1995年に創業し、170社以上におよぶ大手クライアントを世界各地に抱えている。そのなかには投資銀行の上位10行のうちの9行も含まれている。同社は、金融セクターのクライアントのニーズに応えるプラットフォームを築き上げるとともに、長年にわたってそれを運用してきている。ITRS Groupの最高技術責任者(CTO)Justo Ruiz Ferrer氏は最近のインタビューで、同社はこれまでずっと、リアルタイムを重要なものとして位置付けてきていると語っている。


金融分野に特化したコンサルティング企業はデータアーキテクチャに関して何らかの意見を持っているのだろうか?
これは時代の象徴とも言える。
提供:TABB Group

 しかし、このプラットフォームは同時代の多くのプラットフォームと同様に、スケールアウトできないという問題を抱えていた。スケールアウトというユースケースは、有形の価値を引き出せる可能性が56%高く、大量のデータを取り扱う金融セクターのクライアントにとって必須と言ってもよい。ここに「Valo」の入り込む余地がある。Ferrer氏は数年前、ITRS Groupのコアプラットフォームをビッグデータ時代のニーズに適合させるべく、再設計したうえで再構築するために雇用された。

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