海外コメンタリー

金融分野で存在感高まるビッグデータ--その理由やトレンドを考察 - (page 5)

George Anadiotis (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2017-01-11 07:30

 とはいえ、この論理展開はおそらく街ゆく人々に向けたものではない。業界に影響を与える人たちや批評家、意思決定者に向けたものだ。彼らにとっては意味があるのかもしれない。前述の奇妙な点を議論する際、Ferrer氏はこの論理展開から距離を置きつつも、業界の規制を絡めて考えると、データアーキテクチャと罰金の間に何らかの関連性を見出せる可能性があるとすぐさま指摘した。

 同氏の主張によると、一部の罰金は金融機関が規制当局からの要求に応えられなかったために科されたものであるという点を考えた場合、「誤った」データアーキテクチャと無関係ではないという。Hortonworksで金融サービス担当のゼネラルマネージャーを務めるVamsi Chemitiganti氏も、ビッグデータがいかに、「世界を横断する不正資金の流れを遮断する取り組みで重要な存在となり得るか、そしてそれによってマネーロンダリング低減に向けた金融機関の確実な取り組みを保証できるのか」について語っている。

 興味深いことに、金融機関によるビッグデータの利用方法は一部明らかにされているが、規制機関による利用方法に関してはその限りではない。このため、彼らのビッグデータの利用方法について、本当のところは分からず、「正しい」データアーキテクチャによってより能率が高まるかどうかも判断できないのだ。この一方、金融機関とは対照的に、規制に対する一般の人々の意見は割れている。明らかにデータ中心となっている、規制関連のアクティビティに光を当てることで、おそらくはより深い見識が得られるはずだ。

 Ferrer氏は規制機関の活動を、犯罪捜査で証拠収集を行う鑑識活動になぞらえている。Reilly氏はビッグデータのプロバイダーがより透明性の高い運用と意思決定を可能にするツールの提供で支援できるものの、最終的に意思決定を行うのは人間だと指摘している。あるいは、少なくとも今まではこの指摘通りだ。フィンテックのイノベーションの波は、財務運用の完全な自動化を目標に据えている。これが可能かどうか、そして/あるいは良いことなのかはまた別の話だ。


金融機関の行動を捕捉するというのは、一種の鑑識活動だ。

 本記事は、ClouderaのCEOであるTom Reilly氏とデータサイエンス担当責任者のSean Owen氏、Hortonworksの共同創業者であるAlan Gates氏、MapR関連書籍の著者でありビッグデータ関連のコンサルタントであるEllen Friedman氏、ITRS GroupのCTOであるJusto Ruiz Ferrer氏とのインタビューを抜粋したものだ。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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