展望2017

「俺IT」で攻める--成果出すために必要な“顧客”の再定義 - (page 3)

山田竜司 (編集部)

2017-01-09 07:00

 人口減少社会で成長するための手段として考えられる“新規事業の立ち上げ”には、こうした内製化に成功しているベンチャーの在り方は無視できない。デジタル化はもちろん、IoTやFinTech、AIといった領域では、ウェブを介したAPI連携など、他社とのデータ連携で価値を出すことが前提となっているからだ。

「顧客志向」とスモールスタートが必要

 確かなことは「ビジネス環境の変化にシステムを柔軟に合わせていくための仕組みを構築する必要があること」ではないだろうか。

 不確実な未来に備えて予測の精度を上げるために知見を内にため、アジャイルな体制を整える際、最も身近なのはアジャイル開発を引き受けるSIerと組むことかもしれない。

 そうした他社連携の際、IT部門が発注者として持つべきは、アジャイル開発などで発生する開発に関するレビューや、ゴーサインを出すといった労力を担い、責任を持つという覚悟である。


 IoT分野で企業内に知見をため、アジャイルな開発を可能にする足掛かりになるサービスを提供する動きも出てきている。KDDIでは2016年12月から、IoTのシステムやアプリケーションの開発や構築、運用開始から改善作業までをサポートするクラウドサービスをスタートさせた。このサービスを提供するために、社内でのアジャイル開発の体制を強化している

 ビジネスもシステムも何が正解であるか分かりにくい時代である。オープンイノベーションという言葉をだすまでもなく、自前主義では解決できない、さまざまな連携が必要だ。

 エンタープライズであってもベンチャー企業のカルチャーや考え方の違う存在の力を借りないと、成功につながらないケースも増えてきそうだ。例えば、市民向けのサービスの展開を検討するハッカソンの場合、会場に授乳室を設けた例もある。

 パートナー、ユーザー、そして従業員はすべて成果出すために必要な“顧客”である。消費者向けか、企業向けかに限らず、これまでより広くなった“顧客”という概念をとらえなおし、いかに明白にするかが、成長への足掛かりになるだろう。

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